「FORMOSA」感想 ストーリー△主役感◯ヒロイン感✕

その他の宝塚

いつもなら劇場で撮影した画像をアイキャッチ(タイトル画像)に使うんですが、

諸般の事情で見栄えが悪くなってしまうためキャトルレーヴでプログラムを買った際の画像を使いました。ちゃんと観てきましたよフォルモサ。

以下、ネタバレまみれです!

演出は「ベアタ・ベアトリクス(以降「ベアタ」)」の熊倉飛鳥。ベアタはチケ難な極美バウでしたが私はご縁がありました(感想記事はこちら)。
どうも熊倉氏は「マイナーな史実ベースで物語を作る」スタンスらしくベアタもフォルモサもその系統です。主人公をはじめとするプリンシパルの名前を史実の人そのまんまにしているのも同じ。
フォルモサの主役、縣千さんが演じるジョルジュ・サルマナザールはいわゆる「ホラ吹き」なんですがあら?花組もホラロマンをやったばかりですよね、偶然かなぁ。
フォルモサの話に戻りますとそもそも「フォルモサ」というのがサルマナザールの嘘だったわけ。台湾を勝手にそう名付けたんですね。さらに2番手の華世京さんが演じるウィリアム・イネスも実在の人物で、華世さんが縣さんに「日本人ではなく台湾人だと偽れ」とアドバイスしたところまで史実通りだったりします。

その他、ウィキの「ジョルジュ・サルマナザール」と照らし合わせた感じ
・天月翼さん演じるロンドン司教ヘンリーコンプトンが縣さんの嘘を信じた。
・叶ゆうりさん演じるペンブローク卿が縣さん華世さんのパトロンになった。
・紗蘭令愛さん演じるイエズス会の司祭フォンタネーが縣さんの嘘を見破った。
・蒼波黎也さん演じる天文学者ハレーも縣さんの嘘を見破った。
あたりもまるっと被っています。

史実と被るのは良いんですよ。フランス革命のごとく食傷気味な史実じゃなくマイナーな史実を拾っているのも良い。
だけどベアタと比較してフォルモサは随分とモサッとしていたように思います。

モサッの1番の原因は宝塚的事情かと。2番は熊倉氏の実力不足ですね、ゼロ(イチ)からの創作力の乏しさ。

まず1番について述べてみますとフォルモサの2番手は華世さん(106期)なんですが、眞ノ宮るいさん(100期)、咲城けいさん(102期)、紗蘭令愛さん(103期)、蒼波黎也さん(104期)にもそれなりに見せ場が必要だったのが災いしているっぽいんです。
熊倉氏の腐心ぶりが伺えます。
・眞ノ宮さん→実在したヘンリーコンプトン(天月さん)の部下で存在感がある。
・紗蘭さん→実在したフォンタネー司祭。
・蒼波さん→実在した天文学者ハレー。
はどうにかなりました。なんとハレーはあのハレー彗星の由来になった超天才天文学者だそうで、首席入学者として音楽学校の入学式で答辞を読んだという蒼波さんへの配慮を感じさせます。

だけど、
・咲城さん→サルマナザールが脳内でこしらえた革命家メリヤンダノー
が私にとっては「混乱のもと」でした。
プログラムに「空想上の革命家」とありましてそう、縣さんが脳内でこしらえた空想の人物なんですね。史実でもサルマナザールは「日本ではメリヤンダノーという人物が革命を起こして皇帝になり台湾を支配下に置いた」と嘘をついたそうですから、メリヤンダノーの存在そのものはおかしくないんです。
だけど熊倉氏はメリヤンダノー(咲城さん)に人格を持たせすぎた。本来ならあくまで縣さんの脳内でのホラキャラに過ぎないのに、咲城さんは時に縣さんを支配しようとするんです。縣さんの首に剣を突きつけてああしろこうしろと指示してくる。なんつーかな、「身をわきまえないイマジナリーフレンド」みたいな感じ?不幸な幼児期をすごした縣さんには空想癖があり、その中でメリヤンダノーが生まれて、本来なら成長にともない消えるはずのイマジナリーフレンドなのに居残り続けた上にヤバいちょっかいを出してくる。
あとメリヤンダノーのビジュアルが目立ちすぎますね。咲城さんには私設ファンクラブがないという噂ですがファンサービスなのか、メリヤンダノーのビジュアルがやったらゴージャスで凝った衣装とメイクなんです。それゆえ架空感が薄れストーリーを理解する上ではデメリットになりました。ついでに言うと咲城さんはメリヤンダノーだけでなくアンサンブルの「学者」も演じているのでお着替えやメイク直しがさぞ大変でしょう。

続いて2番ですね、もう忘れました?熊倉氏の「ゼロ・イチからの創作力不足」ですよ。
フォルモサ制作にあたり熊倉氏は「史実ベース」「男役ヒエラルキー」に非常に注力した一方で、ヒロインをかなり適当に扱っています。
ベアタのヒロインは実在したリジー・シダル。あの名画「オフィーリア」のモデルでもあります。だから熊倉氏はキャラ設定を味付けしやすかったんでしょう。一方でフォルモサのヒロインはどうも実在していないっぽいんですよ、ネット検索してもサルマナザールの妻や恋人は出てこないし。だからでしょうか、音彩唯さん演じるシェリルはキャラ設定が甘くて「思慮浅いキャピキャピガール」みたいになってしまいました。それでも縣さんとたっぷりと恋愛ってくれるなら宝塚らしくてオッケーなのにそういった要素が極めて希薄で、「こうもヒロインを軽視しているのはどちらの理由だろう?」と勘ぐってしまいます。トップ娘になる事がほぼほぼ決まっているから軽視出来るのかなと思っちゃうんですよ私はひねくれているから。
にしても、ベアタでは男と女のドロドロを見事に披露してくれた熊倉氏ですがひとえに「史実ベース」ゆえだったんですね。日本人あるあるの「アレンジは得意だがゼロ(イチ)から作るのは苦手」ってやつかな。

というわけで、、、
サルマナザールを取り上げたのは良いがわかりにくいストーリーは△。
サルマナザールのキャラが縣さんによく合っていて主役感は◯。
キャピキャピガールなヒロインは✕。
でした、私にとっては。

以下はオマケ。

これまでのデカくて重い愛機「ケンコー超広角」を留守番させて、新しくお迎えした「サイトロン広角」をお供にしました。
ケンコー超広角は裸眼じゃないと使えないんですがサイトロン広角は目当てで調整出来まして、初期状態はメガネとの併用が前提になっています。
目当てをツイストして、

引っ張り出すと裸眼モードです。
シアター・ドラマシティならどの席でも5倍でジェンヌさんのお顔を認識出来るし、実視界10.5度の広角のありがたみを感じると思います(通常の双眼鏡は8倍&7度)。

サイトロン サファリ5×21(容器の重さは引いています)

小さいし軽いです。
ふふ、、、

ケンコー7×32(容器の重さは引いています)

これほどに違うんですよw

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