藤山寛美三十三回忌追善喜劇特別公演[南座]感想

その他観劇、鑑賞

「宝塚や四季ではこんなに迷う事、まずないな」ってなほどに観劇する・しないを迷いに迷っていた南座での藤山寛美三十三回忌追善喜劇特別公演。寛美さんの追悼公演は5月に大阪松竹座で観たんですよね。その時の感想にも書いたんですが私には上方喜劇の良さを理解する事がかなり難しい。子ども時代にドリフや欽ちゃんといった(恐らく下方の)喜劇に馴染んでいたからしょうか?とにかく上方とはテンポやノリが合わず観劇にあたり忍耐が必要です。

それでも上方喜劇に手を出したのは、北翔海莉さんのご主人である藤山扇治郎さんを拝むためでした。あの北翔さんが夫に選んだ舞台人なのだから凄腕だろうと期待しまくりだったんです。初めて生観劇した時は「みっちゃんダンナさんだぁ♪」と本当に嬉しかった。
だけど、やがて物足りなさを感じるようになってしまいました。育ちが良さそうで、優しそうで、良い夫であり父親っぽい方です。だけど舞台人としては華も技術も乏しい気がします。
私は気付いてしまったんですよ、
「扇治郎さんはプリンシパルのはずなのにどの作品でも出番が少なくセリフが短い」
って。

扇治郎さんの伯母である藤山直美さんはモーレツな演技力で膨大なセリフを操りまくり、アドリブも上手くてそりゃあもう「タダモノじゃない」パワーが凄まじいんです。顔はどことなく血の繋がりを感じさせるふたりなのに舞台上でのオーラがこうも違うとは。ただ、直美さんが扇治郎さんをとことん溺愛している事はわかっているつもりです、舞台のシメのご挨拶で直美さんが何度となく扇治郎さんエピソードを展開していましたし。

というわけで南座でもふたりを観たいような、でも南座は大阪松竹座より遠いし面倒くさいような。
正直、気持ちは「やめとく」に傾いていました。
しかし、

カロスキューマでランチをした時(道順やランチについての記事はこちら)にね、たくさん貼られたポスターなどの中から(中央に注目)、

扇治郎さん直筆サイン入り(しかも印刷じゃなくて生!)チラシを発見しちゃったんですよ。
このチラシに載っている令和2年5月公演はコロナで中止になり、2年過ぎた今年に演目を半分変更して上演する事になったんですね。ゲスト出演者もほぼ半分変わっています。その中にはあら、元宙組トップスター貴城けいさんのご主人である喜多村緑郎さんも・・・ふふ、喜多村さんの魅力についてはこの夏のタマ様公演で十分に堪能しました(感想記事はこちら)。

おっと話が逸れましたが、カロスキューマで幻公演のポスターを眺めて以降いろいろ考えちゃったんです。そして結局「やっぱ観に行こう」となりました。
タイミング良く、

チケットWeb松竹からこんなメールマガジンが届きましたしねw

南座に到着~
チケットは切符引取機に6桁の購入番号と自分の電話番号の下4桁を入力すると、

このようにウィーンと出てきます。
もちろん三等席ですw

南座の3階ってとにかく急勾配なので階段を上がるのが大変だけど、そのおかげで舞台がよく見えます。けっこう後列だったりサイドだったりしても見切れはなく、

花道もスッポンがすべて見えました。愛機のケンコー広角双眼鏡を使えばお顔もハッキリ。

ホンマ南座は良い劇場です、個人的に大阪松竹座よりだいぶ好きです。

しかも驚いた事に南座は、

いつのまにか客席での飲食が可能になっていました。くー、知っていたら持ち込んだのに!
めげずに、南座のすぐそばにあるファミリーマートに向かいました。

ホンマね、南座の改札から10mくらいのところにファミリーマートがあるんです。

おかげでイージーに買い物出来まして、

幕間の時に食べる事が出来ました。大食い大好きな私ですが観劇の時は眠気防止のためにかなり控えますw
幕間の客席はお弁当を食べている人まみれでした。眠くならないのか私が心配になるほどに大きくて立派なお弁当を食べている人もいましたよ。ちなみにソロ活さんを除くと誰も黙食していませんでしたねw
賑やかで楽しい雰囲気の幕間でした、宝塚大劇場でも早く客席でお弁当が食べられるようになれば良いな。

さて・・・
随分と引っ張りましたが、そろそろ公演そのものの感想を述べましょう。

寛美さんの追悼公演は、大阪松竹座でも南座でも
・(寛美さんの孫であり直美さんの甥である)扇治郎さんが出演する典型的な松竹新喜劇
・(寛美さんの娘である)直美さんメインのお芝居
の二本立てです。

こちらがポスターね。この度の南座公演では「えくぼ」に扇治郎さん、「はなのお六」に直美さんが出ていました。

でね、
はっきり言いましょう、この度の扇治郎さんも華やかさに乏しかったし、出番もセリフも少なかったです。将来は松竹新喜劇の座長になるんだろうに大丈夫だろうか?勝手に不安になってしまいました。

あと松竹新喜劇のお芝居はやはり私に合いません。この度の「えくぼ」も私にはつまらなかった。
私が苦手な「諸事情をキャストのトークで説明させる」が長すぎました。このやり方だと少しでもトークを聞き逃すとお芝居がわからなくなりそうでしょう?だから頑張って聴いたけれど「福三(扇治郎さんが演じた役)は、スナックかもめのナンバーワンホステスだった京子が忘れられない」といった、まぁ言ってみればくだらない諸事情なんですよ。そういったトークを、還暦は過ぎているであろう役者さんが延々と続けるんです。
喜劇ゆえに笑いも挟んでいるけれどあまりに冗長で退屈でした。ホンマ、私が観たどの松竹新喜劇もこのパターン。

一方、直美さん主演「はなのお六」は随分と気合いが入っていました。
「ガチ歌舞伎役者&歌舞伎っぽい舞台」な、ゴージャスお芝居だったんです。

歌舞伎役者は中村亀鶴(なかむら きかく)さんという方で、私が去年末に南座で生観劇した吉例顔見世興行にも出ていました。すごく覚えているんです、亀鶴さんは若く(と言っても50だけど)、立ち回りもキビキビでバッチリ、そして声がとても良かったので。若い男女の「曽根崎心中」なのに主役ふたりが高齢(しかも片方はメタボ)でゲンナリでね(感想記事はこちら)、亀鶴さんは悪役でありながら素敵ぶりが目立っていました。だけど先ほど感想記事を読み返してみたら私、亀鶴さんに全く触れずに高齢な主役ふたりへの文句ばかりでしたね。ふふ、いかにも私らしい。

舞台も歌舞伎的で、特にラストがキンキラキンでした。
すごく見覚えありまして、そうだ、録画していたNHKの、

「春興鏡獅子」の舞台と似ているんだ!と思い出しました。
ひょっとすると「はなのお六」のラストの舞台はもっと派手な金と牡丹だったかも?ちなみに牡丹って「百花(ひゃっか)の王」と呼ばれているらしいですよ、NHKの副音声で教えてもらいました。
いやん、私ってばどんどん歌舞伎に詳しくなるかも?ふふふ
そうそう、今月30日の21時にNHK「古典芸能への招待」で歌舞伎を大盤振る舞い放送してくれますから、興味ある方は録画予約をどうぞ。

おっと、またも余談が長くなっちゃいましたがとにかく「はなのお六」は楽しかったです。ストーリーそのものは大したことないけれど名役者とゴージャス舞台で切り抜けています。上方喜劇お約束の「くどい繰り返し」がさしてないのも助かった。

その後の直美さんのご挨拶がこれまた、すご~く良かったんですよねぇ、やはりこの人はタダモノじゃない。真面目な話と笑い話を織り交ぜるのが本当にお上手なんです。「父の寛美は60で亡くなりましたが私はもう64、父より長生きしています」なんて言ってシンミリかと思えば、その後間髪入れずに「父が亡くなった時に母は『パパ(寛美さん)がいなければ生きていけない』と何度も言ってたのに90を超えた今も元気で、高島屋で買い物するんです」なんて言って観客をドッと沸かせる。もうとにかくトークが達者なんですね。
そんな直美さんは前回の大阪松竹座の時と同様に、南座でも扇治郎さんをアピールしまくっていました。なんかもう伯母というより実母に近い感覚?
私は・・・扇治郎さんが直美さんの芸をまるっと継ぐのは難しい気がします、だけど余計なお世話ですね。

今後は直美さんが出る舞台は(安い席があれば)観て、もう松竹新喜劇は観なくていいかな・・・
だけどカロスキューマにはまた行きたいから、その時に新しい扇治郎さんの肉筆サイン入りチラシを見つけたら気が変わるかもしれません。

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私のドケチ観劇を支えてくれる愛機です。重くてデカいけれど視野が広いです。

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