「ウィキッド」感想

劇団四季

四季によると「再演希望No.1」な、ブロードウェイミュージカルでもある「ウィキッド」。
引っ張らない主義なので先にお伝えしておくと私にとっては「1回観れば良い」でした。
これまで観た四季作品を並べると

—何度でも観たい—
・オペラ座の怪人
・JCS
—また観ても良い—
・ノートルダムの鐘
・キャッツ
—1回観れば良い—
・リトル・マーメイド
・美女と野獣
・アナ雪
・ウィキッド
・アラジン
・バケモノの子
・ロボット・イン・ザ・ガーデン

かな。ほとんどが「1回観れば良い」だったりします。いずれも「観てよかった」とは思っているんですよ、四季には「大外れ」がないし。ふふ、もちろん宝塚と比べていますw

春、海、名古屋に行ったからこそわかる、大阪四季劇場のゴージャスさ。

C席に向かうにしたってこんな立派な階段を登るんですからワクワクです。

もう何度も記事にしていますが「本日のキャスト」は掲示されているボードの撮影に励むのはそこそこに、

この紙切れをもらう事をおすすめします。

ウィキッドってパッと見、タイトルロールがいません。登場人物に「ウィキッド」がいないんですよ。事前に四季公式サイトでキャストをチェックしている時から不思議に思っていました。
本気になればなんぼでも調べられたのでしょうが予習しないまま本番を迎えまして、ウィキッドは「悪い魔女」という意味でありエルファバがそうである事がわかりました。

ここで新たに生まれた不思議がトップクレジット。なぜかエルファバじゃなくグリンダなんですよね。
グリンダは「良い魔女」だそうで、舞台を観てようやく気付いたんです。

ポスターには緑色の魔女っぽいキャラしかいないと思いきや、横に白い別の魔女がいる事に。
マジで存在に気付いていませんでした。この子がグリンダですね。
ウィキッドはいわゆる「W主演」の体裁っぽい。とはいえ実際はエルファバのウェイトが大きくて演者の力量が非常に問われます。今の大劇場は花組公演なので花組ジェンヌに例えるとぶりっ子なグリンダには星空美咲さんがピッタリ。だけどエルファバは娘役では厳しい。現役ではないけれど望海風斗さんが浮かびましたよ、トップになったのは雪組ですがもともとは花組に長く在籍していたのだし。ただしエルファバとグリンダは同級生でふたりとも大学生なので望海さんは年齢的に厳しいかも?
あと望海さんだと女の子らしさが足りないかなぁ。そう、望海さんばりに抜群かつドスのきいた歌唱力を持っておりさらに女の子らしさも必要なんですエルファバって。小林美沙希さんはそのあたりの何もかもが揃っていて素晴らしかった、さすが四季!

なんせ主役が女の子2人なだけあって男性陣は存在感が薄めで、唯一のイケメンであるフィエロにしても1幕では頼りない。そうですねぇ花組なら綺城ひか理さん聖乃あすかさんどちらでも良さそう。ただし2幕になるとシャキとしてくるので演技力で優位な綺城さんになるかな。

望海さんを引っ張り出したからってわけじゃないんですが「ファントム」っぽいかもウィキッドって。うん、(原作が同じ)オペラ座の怪人というよりはファントム。怪人よりエリックの方が随分とこじらせているし愛を強く求めていますよね。エリックにせよエルファバにせよ生まれ持った容姿に強いコンプレックスを持っています。

ええっとねぇ・・・
総じて高評価な作品である事を承知しつつ以下、私の感覚をそのまんまお伝えします。
ウィキッドは初演が2003年ゆえコンプラやポリコレが厳しくなっており、エルファバの顔面を怪人やエリックのごとく崩すわけにはいかなかったのでしょう。それで「全身の肌が緑色」という設定をひねり出したのかもしれませんが何とも微妙な感じです。あくまで私の感覚ですが褐色を避けていたって根底にはさべつが存在している気がして。
そして逆さべつっぽさも私は感じました。肌が緑色なエルファバだけはずっと聡明で、白い面々はぶりっ子だったり自己中だったりなんですから。グリンダ、フィエロ、ネッサローズ(エルファバの妹だが肌は白い・宝塚なら路線な若手娘役・花組では美羽愛さんあたり)、ボック(グリンダが好きだがネッサに愛されて結局拒否る・宝塚なら路線の若手男役・花組では希波らいとさんあたり)、その他とにかく白い面々にはこぞって欠点がありました。
そんな環境下で無理やりっぽいほどにエルファバは幸せになるんです。20世紀の作品である怪人やエリックはクリスティーヌを束縛しまくるも愛を得られないまま行方不明なり絶命なりしますが、21世紀の作品であるエルファバはいつの間にかダラからシャキに覚醒したフィエロと相思相愛になりちょっとゴタつくもののハッピーエンドを迎えます。
これだけでも無理やりっぽいのにイケメンだったフェエロが醜いカカシになっちゃうんですよね。でもって真実の愛ゆえエルファバは冷めないんだからもうお腹いっぱい。私は冷めました、根底に容姿や肌色へのさべつがありそうなのに表面的にはあまりに道徳的な演出すぎて。グリンダにしたって結局は良い子だったし。

というわけで道徳的じゃない作品が好きな私ですが、代表格なJCSの

宣伝映像が改札内で流れていました。京都劇場では3回拝めたけれど全ツの関西公演は日程が合わず残念。もっともJCSが大阪に来てロングランになったら通っちゃいそうでそれはそれで恐ろしいのですが。
加藤迪(かとう すすむ)さんの隣は守山ちひろさんかな?守山さんのマグダラのマリアは超サイコーでしたぁ、無力で儚げな雰囲気がたまらなかった。
守山さんはウィキッドではネッサを演じる事があるようですね。ネッサもまた儚くてウィキッドで一番の不幸キャラだったりします。愛するボックから愛されず、死に際の演出なしで死んだ事になってしまいました。姉妹でありながら肌が緑色なエルファバは幸せになり白いネッサはこうなっちゃうなんて、逆には出来ないでしょ絶対。

いろいろ書きましたが「観て良かった」と思っている事は念押ししておきます。

撮影可能な開演前の舞台はこんな感じで私としては「ウィキッド」の文字が欲しかった。「エンジェリック・ライ」は文字入りらしいですから楽しみです。

コメント

  1. あま より:

    はじめまして。
    たー様の観劇感想を読んで「JCS」を観たあまです。
    今回の「ウィキッド」は一度観ればいい、だったんですね。
    ちなみに「JCS」は何度でも見たいという事ですが、アホな私には難しく、何だかよく分かりませんでした(;’∀’)
    皆さん、歌が上手だとは思いましたが、キリストについて無知な私には何が何だか意味が分からず、眠たかった思い出しかありません・・・。
    「JCS」を観て、感動できるたー様が羨ましい!

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      あまさん、はじめまして。
      私の影響でJCSを観たもののフィットしなかったんですね、申し訳ないです。
      アホかどうかではなくキリスト教との関わりが影響しているんでしょう。私はいっときカトリック・プロテスタントどちらの方々とも交流がありました。それで旧約聖書は里中満智子さんのマンガ版を読みましたし、新約聖書は4つの福音書だけではありますが聖書を読みました。神父や牧師の説教を聞いた事も何度かあります。
      こうゆう土台があったのでJCSの非道徳的ぶりが強烈だったんです、新約聖書及びイエスへの冒涜レベルだから。イエスがあまりにも普通の人すぎる。
      あとヘロデ王の歌って新約聖書の有名なシーンを小馬鹿にしているんですよね。
      ♪死人がぁー、目を覚ますって?ワァオ♪
      ♪水をワインにー、変えてみるがいい♪
      ♪パンのかけらで家族をやしなえ♪
      ♪ゆけぇ、ユダヤのキーング!♪
      とにかく全体的に「ををを」です。ロイド・ウェバーの母国イギリスはプロテスタント王国なのによくこんな作品を世に出したものですよ。

      私は結局信者にはなりませんでした。教会ごとにビミョーに方針が違うしぶっちゃけ、お金の話もついてまわりますから。えげつないところはとことんえげつないです。
      なのですっかり決別したつもりでしたがああいった経験のお陰でJCSを楽しめたのだと気付きました。ご指摘ありがとうございました。
      どうぞ今後もどうぞよろしくお願いいたします。

  2. 匿名 より:

    >>それで「全身の肌が緑色」という設定をひねり出したのかもしれませんが何とも微妙な感じです。

    「オズの魔法使い」さえ知らないのですね…。なぜカカシとブリキの人形と臆病なライオンが出てくるのかもわからずに観るとは勿体ないことを。

  3. 千尋 より:

    たー様。初めまして。
    いつもブログを楽しく読ませていただいております。

    今回の「ウィキッド」の感想記事、楽しみにしていました。
    私は「ウィキッド」のあらすじをまだちゃんと読んでいなかったのですが、キャストを宝塚の花組に置き換えると・・・というのが、キャラクターを想像しやすくて助かりました(笑)
    たー様には刺さる作品ではなかったですけど、「観て良かった」と思わせるのは流石劇団四季ですよね。
    原作ありきとはいえ、外れがないというのは本当に凄いことだなと思います。

    前回の記事で、C席を取ったというのを読んで「C席が空くなんて知らなかった~!」と思った一人です。
    私は泣く泣く2月のB席を確保しています。
    でもたー様みたいに根気がないので、きっと私のもとにはご縁はないのでしょう(笑)
    2月まで気長に待ちたいと思います。

    少しずつ寒くなってきたこの季節、お身体にはくれぐれもお気をつけくださいね。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      千尋さん、はじめまして。
      いつも遊びに来てくださっているとの事、ありがとうございます。
      宝塚ブログですから他の劇団の作品を宝塚に例えるのもアリかなと。それがお役に立っているのなら幸いです。

      はい!どの作品も「観てよかった」ですホンマ。そう、流石の劇団四季です。

      千尋さんは2月のB席を取ったんですね。私が初めて四季を観た大阪でのリトル・マーメイドもB席でした。娘に「早く観に行きたい」とせがまれて「こんなに価格が違うんだからC席とは違うんだろう」とB席を取ったのにほぼ同じで、それで後日頑張って私だけC席を取りおかわりしました。この2回でリトマはお腹いっぱいになり四季ごと縁がなくなると思っていたんですがリトマの次にやってきたオペラ座の怪人にドハマリで。何があるかわかりませんね。

      経験上、C席やめっちゃ良いS席がヒョイと空くのは公演1週間前から3日前くらいに多い気がします。「この日に行きたい、行ってやる」と願をかけてアクセスしまくり執念でゲットしたのがほとんどですがバケモノは暇つぶしがてらにアクセスして偶然ゲットしました。四季とは超細く、しかしそれなりに長くのご縁が続きそうな気がします。

      観劇の際は是非感想をお聞かせください。
      はい、毎日少しずつ寒くなっていますしお互い身体の健康に気をつけてすごしましょう。

      この度はお初コメントをありがとうございました。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

  4. ごんちゃん より:

    たー様、お早うございます🤗

    四季の会、30年選手の私…近頃先行抽選がめっきり当たらなくなりました
    先行購入でき私がウィキッドを観劇するのはお正月なのでまだまだ先です(笑)

    ちなみに…私がもう一度観たい作品No.1は、アイーダです

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      ごんちゃんさん、こんにちは。
      30年選手なんてすごいですねー!先行抽選が当たらなくなったそうですが花組や月組の大劇場公演もでしょうか?いずれも平日はかなり落ち着いているような印象です。
      東上はめったに当たらず、バウや新人公演はさらに当たりません。ホンマ何のための友の会なんでしょうね。
      マジで四季の方が会員を優先しまくっているし戻りチャレンジも出来るしで頑張り甲斐があります。

      ごんちゃんさんはお正月にウィキッドなんですね。是非感想をお聞かせください。
      アイーダは他の読者さんからも良さを伺っており本当に観てみたいです。四季によるとリクエストのNo.1はウィキッドだそうですが何を根拠にナンバーワンにしているかわからない。

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

  5. あま より:

    コメントにお返事、有難うございます。
    私がJCSにフィットしなかった件に関して、
    「申し訳ない」
    とありますが、とんでもないですっ!

    ちなみに、やっぱり
    「水をワインに~」
    も、キリスト教に関するものだったんですね。
    きっと、キリスト教の世界では有名なフレーズなんだろうなぁ、と、さっぱり意味が分からずボンヤリ聴いていました。

    これからも、宝塚に限らず色々な観劇感想を楽しみにしています♪

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      あまさん、さっそくのおかわりコメントをありがとうございます。
      はい、水をワインには新約聖書に載っている「イエスの奇跡シリーズ」の有名どころです。死人が生き返るのもそう。パンについてはわずかなパンと魚で数千人をお腹いっぱいにしたエピソードだったかと。

      「放蕩息子」や「狭き門」も新約聖書ベースだし、ヨーロッパの有名な絵画の数々にしたって聖書ネタが多く、ハリウッド映画にも影響している作品がたくさんあります。ですから信者にならない前提でもちょろっと読むと楽しいかも。ちなみに私は放蕩息子のエピソードが大嫌いで絶対に納得出来ません、ですが読んで良かったとは思っています。

      今日は宝塚ブログらしくエンジェリックライの感想をアップしました。今後も宝塚やその他、言いたい放題するつもりです。
      どうぞよろしくお願いいたします。

  6. めい より:

    観劇から興味が薄れつつあるので・・・「ウィキッド」は来春公開予定の映画で十分というか~映画が良い気がしています。公式サイト↓
    https://wicked-movie.jp/

    エルファバ役のシンシアさんの歌は2017年の「4Stars」で来日時に聞きました。才能のある人です。  

    世の中、なんでも値上がりですが、四季のC席も高いですね・・昔、マチネだと¥1500の時があったような・・宝塚のA&B席の安さが際立ってます。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      めいさん、ウィキッドは来春映画が公開されるんですね、知りませんでしたー!教えてくださりありがとうございます。
      リンク先が私にはちょっとショックでしたがめいさんは大丈夫でした?私にとってはエルファバ役のシンシアさんが緑色メイクでもアフリカ系とすぐわかるお顔立ちなのが気になりました。グリンダはゴリゴリのコケイジャンなのでエルファバもコケイジャンを緑色メイクにして欲しかった。

      はい、私は1500円時代は知りませんがオペラ座の怪人の時のC席は3500円くらいだったんです。なのに随分と値上がりしちゃいました。
      宝塚もそのうち値上がりするかもしれませんね。

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

      • めい より:

        全然大丈夫でした~もしかして私もディズニー並みにポリコレ化されてるのかもしれません。
        シンシアさんが来日時に聴いた歌の中にはレミゼのエポニーヌの歌もありました。何の疑問も持たず普通に聴いてました。

        ブロードウェイでは黒人のクリスティーヌ(オペラ座の怪人の)が居ますし、全員が白人キャストだと批判があるそうで・・・

        日本は平和で良いですね。

        • 関西の、たー 関西の、たー より:

          めいさんは映画版ウィキッドのキャスティングに違和感がなかったんですね。
          はい、ブロードウェイにはアフリカ系のクリスティーヌがいましたし(すでにブロードウェイ上演は終わったんですよね、教えてくださったのめいさんでしたね)、映画版リトル・マーメイドのアリエルにしたってそうです。だけどこうゆうのってぎゃくさべつっぽく私は感じてしまいます。
          確かに日本は平和です。ビジュアルでのさべつはほぼありませんからね。

          いつもありがとうございます。
          今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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