「ISSA in Paris」感想 駄作じゃないけど超アカンやつ

その他観劇、鑑賞

なんか困っちゃうんですよ、退団後の潤花さんを追えるのは嬉しいようで、ご縁あった出演作2つが「アカンやつ」と「超アカンやつ」だなんて。潤花さんはどちらでも極めて美しく爽やかだったんですがいかんせん作品がダメすぎた。
普通にアカン「二都物語」、そして超アカン「ISSA in Paris(以降「ISSA」)。
あくまで私の感覚ではありますが多くの観客にとってそうだったはずですよ、どちらの作品も「強烈な値引きチケットが出回った」「それでも空席が目立った」んですから。

ISSAの方がより空席まみれでしたね。基本的に宝塚以外の梅芸作品は撮影禁止ですが

ISSAは撮影OKにした上にSNS投稿を呼びかけており深刻なチケ余りを感じさせましたし、実際、

1階席の前方列と3階席の前方列こそそこそこ入っていましたが2階はガラッガラ。それに着席している人にしたって私を含めてほとんどが正規料金を払っていないんじゃないですか?

おそらくこの作品はSNSのみならずあらゆるジャンルで話題にならないでしょう。強くお伝えしたいのが「褒め称える人がいないだけでなく悪く言う人もほぼいないはず」って事。先日大劇場での千秋楽を迎えた星組公演はやったら駄作でしたが実は、駄作ぶりを話題に出来るのって魅力のひとつなんですね。宝塚はこの手の魅力満載です、楽しいじゃないですかぁ老害だのアル中だの陳腐な男のロマンだのまた妊婦?だの文句言うのって。

一方で二都物語やISSAはとってもやっかい。
大っぴらに文句を言ってはいけない「ややこしいアカン」だから、宝塚の通常営業をなじるようにはいかないんです。

ややこしいアカンぶり・・・
それはズバリ、

道徳的すぎるストーリー

です!決して駄作じゃない。駄作じゃないけど道徳的すぎてつまらないし、道徳的ゆえに非難するのははばかられる。ウソでも「感動した!」って表明する方がお得なんです、自分が道徳的で善良な人間であるとアピール出来るから。
二都物語はとんでもなく自己犠牲なストーリーでした。主人公が親友と愛する人を守るために自分の命をサク☆と差し出すんですよね、自己犠牲がとことん美化されていて「命までは捨てなくて良いけど友情や愛情って大切だよ♪」と説教するにはピッタリです。

そしてこの度のISSAは母と息子の親子愛がテーマ。
しかも、たちが悪い事に、

難解すぎる!

んです。
二都物語は説教臭いもののストーリー展開はわかりやすいので普通に「アカンやつ」ですが、ISSAは説教臭い上にストーリー展開が難解なので「超アカンやつ」となりました。私の中で。

以下、ISSAのネタバレです。敬称略。
観劇予定のある方はお気をつけて・・・いや!今回は「是非読んでください」かな?

この作品はね、

A)母親(彩吹真央・藤崎みどりWキャスト)が有名作家ゆえに自分の人生がうまくいかないとくさくさしているこじらせ男子(海宝直人)が、母親の訃報を期に母親が滞在していたパリに行き母親の通訳をしていたこじらせ女子(潤花)と出会う。こじらせ男子はこじらせ女子の影響もありこれまで拒んでいた母親の作品をしぶしぶ読む事にする。

B)母親の作品は「もし小林一茶が革命前後のパリに行ったら」という架空の物語。一茶(岡宮来夢)はパリで革命を計画する庶民達(豊原江理佳など)と出会い交流して自らが信じる道を進む。

のAとBがゴッチャになっているんですよ。すげーわかりにくい。
宝塚だと慣れるまで回想シーンがわかりにくい時がありますね、トップスターが舞台にいるのに背後でトップスターの子ども時代を演じる方が出てきたりで。やがて「舞台演出あるある」と慣れてくるものですがISSAのゴッチャぶりはかーなりわかりにくい。最初から脳みそフル回転でしっかり舞台を追っていないとBが母親の創作である事に気づかないままになってしまうリスクがあります。
さらにやっかいなのがBは母親の創作のはずなのに一部史実でもあって、その事をAで明かすんですよねぇ。そしてさらにさらに、本来なら完全に別世界なAとBの登場人物なのに何故か交わってしまう。

しかもさらにさらにさらに悪い事に、

C)現代のパリにはびこる差別や暴動

も挟み込まれています。特に暴動は「なんやこれ?」「いらんやろ」って感じ。行動する事の大切さを訴えたいのかもしれませんがストーリー展開を複雑にしすぎているんですよ。私の脳みそはABCを理解しようとオーバーヒート状態だったし、オーバーヒートの果てなのか眠っている方もチラホラ。

でもって、ここまでややこしくしたくせに

D)こじらせ男子は母親の愛を理解する

とやったらチャチな大団円!はぁ?
もうねぇ一茶がパリに行く必要なんてないんですよ本当は。イタリアでもイギリスでも、蝦夷でも琉球王国でも良かったんですよ。
全体的に日本へもフランスへも敬意がないのは原案者がアメリカ人だからですかね?「ファントム」を代表とする大物作曲家のはずなのに母国をスルーし「エキゾチックな日本と歴史あるヨーロッパをミックスしてみよ♪日本には俳句っちゅーのがあるらしいし、ヨーロッパといえばやっぱフランス革命やな!」とはなかなかに大罪です。そういや鎖国が終わろうとする日本の幕府や庶民を小馬鹿にした(そして案の定大ゴケした)「太平洋序曲(感想はこちら)」もアメリカ人が脚本や音楽を担当していました。偶然ですかねぇこの作品にも海宝さんがWキャストで出ていたのは。だーいすきなトップ娘OGさんのご主人ですから贔屓したいけれど今後は出演作に身構えてしまいそう。

ISSAの話に戻りますと海宝さんはAの世界で潤さんと良い感じになり、Bの世界では岡宮さんと豊原さんがそんな雰囲気になります。だけどカンケーするどころかキスすらしなくって不自然というか不気味でした。小学生が観ても大丈夫なようにってか?

って、
なんかこれ・・・劇団四季のオリジナル作品っぽい・・・
「ロボット・イン・ザ・ガーデン」と「バケモノの子」を観た私は四季オリジナル作品を見限ったんですよ。「やたら説教臭い」「あまりにも色気がない」から。なのに思いがけずISSAもそんな感じじだったんですよね。四季OBの海宝さんだけでなく、(潤花さんを除く)他のキャストもやったら歌唱力があるのがまた四季っぽかったー。

そしたらね!

https://www.shiki.jp/applause/bakemono/ よりお借りしました

なんと!

https://www.umegei.com/issa2026/cast.html よりお借りしました

バケモノの子とISSAってば脚本がどちらも同じ人なんですよ!
私の直感もなかなか鋭いやん(笑)

でもって私の鋭さは続いてね、ギャー!ビンゴッ!!

https://www.shiki.jp/applause/ghostandlady/ よりお借りしました

大阪四季劇場で上演中の「ゴースト&レディ」も同じ脚本家や!!!
私はこの作品を「きっと説教臭いんやろう、キスもないんやろう」と推測していたんですがもはや確信となりまして、それゆえいっぺんは観たいと思うようになりました。文句を言うにも観てからじゃないとね。

ロボット・イン・ザ・ガーデンはISSAよりはマシでしたからおそらくゴースト&レディもそうなのでしょう。四季パワーが作用するような気がするんですよ。
となるとISSAの演出担当を責めたくなります。脚本家に「これじゃあ難しすぎて観客の多くがついてこれないですよ」「もっと観客が楽しめるようにしましょう」と物申して欲しかった。私は彼にとても興味がありましたから余計に残念です、レジェンドの弟子だった経歴に期待していたのに。
演出力だけでなく執拗なぱわはらぶりでも名を馳せたレジェンド。
コンプラ・ポリコレ違反を追求される事なく黄泉の国に逃げ切ったレジェンド。
私が大好きな大物俳優がレジェンドのシゴキを乗り越えてお墨付きになっていた事実。
そんなレジェンドの存命中に舞台に触れる事が出来なかった私は弟子に「きっとレジェンドの功績も愚行も踏襲しているだろう」とワクテカだったんですよね。だけどISSAでわかりました、弟子はレジェンドを引き継いでいないと。その理由はインテリ過ぎるから・・・だったりして。

というわけで私の気持ちは「やっぱり宝塚やな」になりました。座付き演出家ゆえの良さってありますね。次の花組公演はヨーロッパ依存(だと私は思っていた)若手による初の和物チャレンジですかぁ、楽しみぃ。

たー愛用の双眼鏡です。

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