バロンの末裔のモチーフ、見つけたかも

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宙組の全国ツアー「バロンの末裔」「アクアヴィーテ!!」って、どう考えても「アクアヴィーテ!!」の方が話題になりやすいですよね。

・2019年に初演をしたばかりで、トップスターはそのままなのにトップ娘がチェンジ
・現在の宙組トップ娘はいろんな面で注目されている
・初演のトップ娘は現在、花組のトップ娘
・そもそも作品そのものが花組「Sante!!」の宙組版っぽい

と、条件が揃っていますので。
一方の「バロンの末裔」、こちらも焼き直しではありますが初演は1996年。出演者を比べるわけにもいかないし、ストーリーも月組トップスターだった久世星佳さんの退団公演との事で無難にまとまっているに違いないとなるとそりゃあ、話題にはなりにくいw

にしても、四半世紀前の初演時すでに「末裔」なんて、日常生活でまず使わない単語だったんじゃないですか?
しかし私は思いがけないところでモチーフと出会ったような気がするんです。なんと聖書、それも旧約聖書なんですよ。

雪組のお正月公演「ODYSSEY」や永久輝せあさん東上主演「冬霞の巴里」は公演解説でギリシア神話ベースである事を明記していますがバロンの末裔には何を参考にしたか一切触れていませんし、ホンマ、私の勝手な推測です。
前フリが長いしシメは暗いしととんでもない記事になりましたが、お暇な皆様、さぁ、レッツゴー!

・・・

「コロナ禍で教会での集会が出来ない間、うちに先生(牧師)を呼ぶ事になったので良ければいらして」

こう誘われてSさんの自宅に月イチでお邪魔するようになってはや、1年過ぎました。
Sさんはもともと、私の夫の上司の奥様。夫が同業他社に転職してからも不思議なご縁があり年齢差を乗り越えてお付き合いが続いています。宗教関連のお付き合いは徹底的に拒み続けてきた私ですが、Sさんがらみゆえ「初回くらいは」と参加したんですね。人として尊敬しているSさんの人格にキリスト教がどれほど影響しているのか知りたい気持ちがもともとあった上、自宅なら教会より敷居が低いと感じましたし。
で、その後も無遅刻無欠席で参加し続けています。

先生の話を1時間ほど聞くんですが、プロテスタントなので基本、新約聖書からの抜粋になるんですね。だけど今月は創世記の話となりました。旧約聖書の最初の最初です。
私のような宗教心ナッシナシ人間でも、アダムとイブが人類の始まりで、平和に幸せに暮らしていたのにイブが神との約束をやぶってりんごを食べて、みたいな話は聞いた事があります。これを旧約聖書に照らし合わせると、実はりんごなんて書いておらず「知恵の実」とボカしているんですね。信仰とは無関係に、新しい事を知るのは楽しいものです。

楽しいと言いつつひっかかるのが、最初に神を裏切るのが女性であるイブって事。
マンガで読んだギリシア神話でも、人類最初に神を裏切るのはパンドラという女性なんですね。開けてはいけない箱を開けちゃう、そう、「パンドラの箱」のお話。
なんかまるで、約束を破るのはいつも女が先と言わんばかりで何かモヤつくんですよ。
開けたパンドラが悪いんですか?私は、開けちゃいけない箱を預けたゼウスが悪いと思いますよ。

でもね・・・
どこまでも男性優位、ゼウス至上主義なギリシア神話と異なり、創世記の筆者はバランスを取るつもりなのでしょうか、人類最初に約束を破るのは女性でも、人類最初に人を殺めるのは男性にしています。
アダムとイブは約束を破った罰として楽園を追われ、いろいろ苦しみながらも家庭を築き、双子の兄弟であるカインとアベルをもうけます。しかし慎ましくも幸せな生活は長くは続かず、成長したカインは嫉妬にかられてアベルを手にかけてしまうんですね。
この記事を読んでくださっている方に伺いたいんですが、この話、知ってました?
ひょっとしたらカインとアベルの話は日本人にとっても常識なのかもしれませんが、私は本当に不勉強なのでイブがりんごを食べて楽園を追われたところまでしか知らなかったんです。

で、なんで宝塚ブログでこの話を持ち出すかって、それはSさんがこの度の創世記の話の中で何気なくつぶやいた、
「わたくしたちは皆、カインの末裔ですものね」
のひと言に、むちゃくちゃ驚いたから。

まだまだ初心者宝塚ファンなんですが、私はSさんのつぶやきを耳にして真っ先に、「バロンの末裔」を思い出したんです。マツエイなんてレアな単語を宝塚の公式サイトで目にしてその後早々、まさか聖書の話の最中に耳にするとは!

「カインの末裔」は、キリスト教徒にはデフォな観念らしいです。
「人は皆、生まれながらに罪深い心を持っている(から信仰によって清く正しく生きましょう)」な意味だそうで。

その後バロンの末裔について調べてみたらあらっ!双子の兄弟って設定やん!
これはいよいよ、元ネタはカインの末裔っぽいw
とはいえ、バロンの末裔は初演でもこの度の再演でも、双子であるエドワードとローレンスをトップスターひとりが演じるんですから、殺したり殺されたりなカインとアベルとは異なりますね。
それでもメインを兄のローレンスではなく弟のエドワードにしたのは、兄のカインが弟のアベルを手にかけたからではないでしょうか。

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ここからはオマケ、それもかなりネガティブ色の強いオマケですからね。先にお伝えしておきます。

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月イチとはいえキリスト教や聖書に触れるようにはなったものの、私の中に信仰心は芽生えません。
奇跡が起こるのは聖書の中だけですから。
Sさんはいつも私のために祈ってくれています。だけど状況は悪化の一途をたどるばかりです。キリスト教徒の家庭に産まれた筋金入りのクリスチャンであるSさんが何年も毎日祈りに祈っても、願いは届かないどころか、悪化しています。祈っているのがSさんでなければ「神様ってアテにならないですね」と嫌味のひとつふたつみっつ、言いたいくらいです。
こんな私ですがキリスト教の存在に意味がある事はわかってきた気がします。
自分を信じるには限界があるんですよね。
私はこれまで神を信じて祈るのではなく、自分の行動力を信じて解決に直接影響する機関に働きかけてきました。「ただただ祈るよりも解決に近付ける」と、絶対の自信がありましたし。
ですが・・・踏みにじられっぱなしです。あまりに無下にされ続け、私の自信はナノレベルに粉々になりました。こうゆう時に神を信じて縋ったらきっと、随分と気持ちがラクになるんでしょう。しかし私は神を受け入れず、ナノ粉に水を加えて練り込みどうにか自分のカタチを保っています。
この水の供給源が観劇です。メインは宝塚ですがOSKや四季、歌舞伎と複数から水をもらっています。こうゆう「複数好き」な性分ゆえ、信仰の対象がオンリーワンなキリスト教とはフィットしにくいのかもしれません。

創世記の話には随分ギクッとしました。自分を苦しめ悲しませる機関の奴らを恨み、どんな手を使ってでも復讐したいほどに憎む私は間違いなくカインの末裔ですから。
だけど宝塚のおかげでギクッとするだけじゃなく、「あっこれ、今度の宙組全ツの元ネタかも?」とものすごく楽しい気持ちになる事も出来ました。ギクッ!とウキウキッ!が同時進行w

おそらく「バロンの末裔」はハッピーエンドな宝塚アレンジとなっている気がします。チケットは当たらなかったのですがライブ配信があるでしょうから楽しみにしています。

コメント

  1. こんちゃん より:

    関西の、たー様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    バロンの末裔はカインの末裔説、興味深いです。バロンの末裔も確かに兄弟間のコンプレックスの話ですね。

    原作の初演当時の話なのでもうおぼろげな記憶なのですが、作・演出の正塚先生のご先祖は旧華族の家柄だった、という話を聞いて印象的だったんですよ。当時の歌劇だったかな、正塚先生がジェンヌさんと高円宮様とでお話をする機会を作ったことがある、というエピソードもあったような。

    旧華族様たちも、皇室以外の方は戦後民間人となり、莫大な土地は没収され、証券財産も戦後のハイパーインフレで紙屑となり、雲の上から俗世に落っこちて苦労した方が多かったそうで。

    ”貴族階級の支配が崩れ去った20世紀初頭のスコットランドを舞台に、男爵家に生まれた男が、双子の兄の婚約者への叶わぬ想いを胸に抱きながらも、愛する土地と人々を守る為、貴族的な潔さでダンディに生き抜く姿を描いた物語。”

    バロンの末裔とは、作者の正塚先生のファミリーヒストリーのことかも、と思ったりしました。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      「宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ」管理人こんちゃんさん、いつもありがとうございます。
      正塚さん、すごいご出身なんですね!ご自身が「旧華族の末裔」だなんて!
      一応、記事を書く前にチラとウィキってはいたのですが、そういった事は書いていませんでした。
      高円宮様とは年齢が近いんですね。お話する機会があったのでしたら、さぞ楽しいひとときになったと思います。

      そうですね、既得権益を失ってからの旧華族の方々は大変だったでしょうね。プライドはなかなか失わないでしょうし。
      私にとっては縁のない「末裔」も、正塚さんにとっては親しみある単語なのかもしれません。
      舞台を日本にするとあまりにナマナマしいのでスコットランドが選ばれたのかもしれませんね。
      双子の兄弟をトップスターひとりでどのように演じるのか、楽しみです。

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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