配信「ザ・ジェントル・ライアー」感想

その他の宝塚

なんかねぇ、
なんか、
今もスッキリしないんです。

瀬央ゆりあさん東上主演「ザ・ジェントル・ライアー」。
バウ主演も兼ねたコロナ禍でのニュースタイルですが、東上というよりバウなストーリーだったように思います。あくまで私の感覚ですが東上よりバウでやる作品の方が「コテコテでベタベタな宝塚ご都合主義」になりやすい気がするんですね。
はっきり言ってストーリーそのものにこれといった感動はありませんでした。
そしてむちゃくちゃショックを受ける事もなかった。登場人物にどこまでも根性悪い人がいないしね。ロバートを強請るチーヴリー夫人にしたって最後は良い人になっちゃうし。そもそも強請るネタがロバートが過去にやらかした「情報漏えい」で、大した事ないんですよ。

ストーリーに全然心打たれなかっただけに、ジェンヌさん達の様子に随分と集中出来ました。

生まれが生まれなだけに何かと話題の稀惺かずとさんのお顔やお芝居や歌唱をすべて十分に満喫させていただきましたし、
当日券で生観劇した眩耀の谷の新人公演で「うわー、野心すごそうやなこの子ー」と大注目した咲城けいさんが「軟弱子爵?」と勘違いしてしまいそうな名前(正確には「ド・ナンジャック子爵」)の人物を演じて強硬にご自身を主張する様子がすごく楽しかったですし、
ノーマークだった紫りらさんがとんでもなくお芝居上手でカルロッタ的なビジュアルといい忘れられない存在となり、
詩ちづるさんは私の脳内で山吹ひばりさんとともに「105期シワシワネーム路線ガールズ」として登録され、
綺城ひか理さんはやっぱりウィッグなしがええなぁと惚れ惚れし、

と、とにかく、ジェンヌさん達のご様子をたっぷり拝ませていただきました。

だけど・・・
瀬央ゆりあさんについてだけは、今も複雑な気持ちです。
この作品が瀬央さんにとって何を意味するのか、私にはわからなかったから。
暁千星さんの星組入りがなければ私はこの作品を完全に「トップスター瀬央ゆりあへのワンオブ段取り」と思うところでした。

とにかく主役が引き立つストーリー。
ゴージャスな衣装が盛りだくさん。
ヒロインぼかし。
充実しまくりのフィナーレ。

こういったところが
「嫁探し中の未来のトップスターのための作品」
っぽく思っちゃって。
いわゆる「餞別」っぽさは、私は、感じませんでした。

瀬央さんは・・・
相変わらずの目ヂカラだし、全身からとてつもないオーラを放出していました。
めっちゃパワフルだった。

出来れば千秋楽にライブ配信して欲しかったですね。
閉幕後のご挨拶が極めてシンプルでしたので。

バウ主演であり東上主演でもあるはずだった作品なのにバウは完全中止になってしまったし、瀬央さんのお立場がなんともわかりにくい今、瀬央さんご本人のお気持ちをもっともっと聴きたかったです。

コメント

  1. こんちゃん より:

    関西の、たー様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    たー様のおっしゃる「バウっぽさ」、興味深いです。たしかに若手のバウ公演と路線のドラマシティ公演って、何か求められるものが違いますね。

    個人的に思うのは、バウ公演は客に提供するエンタメ作品でもあるが、演者の、そして演出家の「勉強公演」的意味合いが強いのかなあ、と思います。

    演出の田淵先生は、大劇場で「異人たちのルネサンス」「アウグストゥス尊厳ある者」などを手掛けていますが、個人的には、文豪志向というか、独りよがりというか。

    難しい内容を難しく語って、客が「? ぽかーん ?」としてしまう作風だなあ、難しいことを客にわかりやすく伝える技術が足りないなあ、と思っていました。

    それで劇団が「ほんものの文豪オスカーワイルド作品に挑戦して、難しい作品をわかりやすく伝える修行をしなさい。演者にも、文豪の名作に挑むのは勉強になるでしょう」作戦?

    ジェントルライアーの元ネタは、オスカーワイルドの喜劇「理想の夫」。この作品は先日、東京の新国立劇場の演劇研修生の卒業公演として上演されたそうで、演劇のプロプロが見ても、役者の修行にぴったりな作品なのではないでしょうか。

    オスカーワイルドの喜劇とか、「ピガール狂騒曲」の元ネタのシェイクスピアの「十二夜」、縣がやった甘小ロックの元ネタの「から騒ぎ」は、イギリスではプロはもちろん、アマチュア劇団や学生演劇でも人気の演目だそうです。

    100年以上演じ続けられてきたということは、歌舞伎の古典のようなものでしょう。

    ものすごくドラマティックというわけではないが、「芝居」としてはキャラの個性や場のシチュエーションの設定がうまくできていて、上演しやすくて、役者の勉強になって、客も見ていてそこそこ面白い、よくできたスタンダード作品なのでしょう。著作権も切れていますし。

    ジェントルライアーは、歌舞伎で言うと、若手が古典歌舞伎に挑んだ!成長した!的な意味で実り多いものだったと思います。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      こんちゃんさん、「バウっぽさ」ですが私が言う事は直感というか、あてずっぽうなので適当に流してください~
      あら、アウグストゥスと同じ先生だったんですね。予習しないままだったので気付かなかったです。アウグストゥスの華さんのセリフは当て書きが多かったようですね。って事はジェントルライアーの咲城さんへの「ナンジャック」もそうなのかなw

      アウグストゥスは世界史、ジェントルライアーは文豪の喜劇がベースですかぁ、世界史も読書も苦手な私が観劇を楽しむのは思いのほか大変です。
      そうそう、そういえばシラノ・ド・ベルジュラックも超有名な演目だそうで、世界中で上演されまくっているらしいですね。
      私は宝塚で初体験してストーリーがしっくりこなくて気持ちをそのまんま記事を書いたら、「これほどに有名な演目を知らないなんて、あなたに観劇を楽しむ資格はない」といった主旨のお叱りの問い合わせが届いたんです。世の中にはジャンルを問わず、もうどうにも、他人を叱りたくてたまらない人がいるんですね。曽根崎心中への記事にも似たようなコメントが届いたし。
      ちょっと前から映画版シラノのCMが流れ始めたので、いろいろ思い出しますー

      私が義務教育中に観た舞台って・・・歌番組や全員集合、欽ちゃんシリーズかなぁ(もちろんテレビで)。
      だからか、こんなにトシとっても観劇に「まず無条件で楽しませて欲しい」って思っちゃうんですよね。
      歴史ある有名な演目とか、出演者にはこれこれこういった背景があって、といった忖度抜きでただただ、楽しませて欲しいなぁって。

      楽しませてもらった後で、勉強したくなる事はあります。
      作品を気に入ったから調べて、有名とか古典のようなものだと知ってへぇー、ってなったり、
      大注目した俳優さんを調べて背景を調べてふーん、ってなったり。
      とにかく・・・「先に楽しませて欲しい」なんです。
      先に歴史を考慮しろ、脚本家や俳優の都合を考えろ、って勉強を押し付けられるのは苦手です。

      ジェントルライアーはとにかく、私にはピンとこなかった。
      ジェンヌさん達のお姿や演技を楽しませていただいたけれど、ストーリーの良さはどうにも、わからないです。
      なので申し訳ないんですが、こんちゃんさんが熱心にいろいろ教えてくださっても「歴史あるありがたい演目なんだ」と頭の片隅に残しておくだけになっちゃいます。
      まだアウグストゥスの方がよっぽど、世界史をちょっと勉強しようかなな気にさせてくれました。

      アウグストゥスはローマ帝国時代でしたが・・・このエリアは後にオスマン帝国となり、ロシア帝国とは因縁の関係だったらしいですね。
      ロシアがウクライナを攻撃したというニュースに「なんでこんな事をするんやろ」とつぶやいたら娘がいろいろ教えてくれました。これまでもいろんな国が地中海を活用するためにあのエリアを欲したとか、そんな話でした。

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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