マノンは2番手ボカシ?私的には、天飛華音

その他の宝塚

宝塚ってトップスター至上主義だからでしょうか、2番手スターの扱いについては作品によっていろいろですよね。明確だったり、ボカシだったり。

「マノン」はまさに後者のタイプだったと、私は思います。

主演メンバーの学年や経歴からして、2番手は順当にいけば97期の綺城ひか理さんだったはず。
また、原作を映画で観た私は、マノンの2番手はマノンの兄だと強く固く信じていました。なのでマノン兄、レスコーを演じるのは綺城さんに決まりだね!って。

が、発表されるとレスコーを射止めたのは102期の天飛華音さんでした。綺城さんはミゲルという、愛月ひかるさん演じるロドリゴの親友の役に。

綺城さんは番手落ちしたのか・・・
とちょっと落ち込みつつ、しかし番手関わらず好きは好き!って思っていたのですが、先にマノンを観た読者さんから「綺城さんが2番手でした」との感想をいただいたんです。
映画の印象が強い私にとって、あの親友をどうすれば、マノン兄を差し置いて2番手に出来るのか全く想像が付きませんでした。とはいえ宝塚アレンジならやってのけるのか・・・と、ワクワクしていたんですね。

そして迎えた、観劇の日。

うーん、あくまで私の感覚ですが・・・2番手はレスコー、つまり天飛さんだと思いました。
直感です。ほんま、私の感覚にすぎない事を念押ししてお伝えしておきます。
2番手が明確ではない事は、観劇した方々の多くに共通した認識ではないでしょうか。しかし、ボカシの中にもどう差があるか、感じ方は観客それぞれだと思います。

判断材料のひとつになるであろうプログラムでは、綺城さんの方がだいぶ先に写っていました。なので格としては上かもしれません。
それでも私が天飛さんが2番手だと思うのは、私の脳内でこだます、ジェンヌOG先生の言葉。

「出番が多い方が路線」

です。
直接聞いたわけじゃなく、ジェンヌOG先生の教室にせっせと通う娘から伝え聞いた事なんですけどね。とにかく、舞台に出る時間の長さが大切なんだそうです。

でね、「マノン」での綺城さん、舞台に出る時間が短いんです。
開幕して先に出てくるのは、綺城さん。けれどその後しばらーく、出てこないんですよ。その間に天飛さんが登場しイキイキ・メキメキとお芝居をこなしていました。衣装もカッコ良かった。初演エリザベートのルドルフみたいな感じで、プログラムのお姿もこの衣装です。
映画ではチンピラだったのに宝塚版では軍服になるのもまた、宝塚マジックですね。

2幕になると綺城さんの出番は1幕より多かったし、長めな歌もあったけれど・・・このミゲルがね、どうしても、役としての存在感が薄いんです。なので格が上なのかもちょっと、わからない。
映画よりはだいぶアゲられているけれど、けれどやっぱ、マノン兄には及ばないんですよ。役そのもの存在感が。
ミュージカルのキャストって「プリンシパル」と「アンサンブル」に分けられますよね。
マノン兄は正真正銘のプリンシパルで、ミゲルは本来ならアンサンブルなのに、宝塚アレンジにあたりサトルが無理矢理プリンシパルに繰り上げた・・・そんな感じで。
ついでにいうとミゲルは衣装も修道士ウェアが多く、かなり地味でした。プログラムでは素敵な衣装だけどこれ、開幕してすぐに登場する時のかも。プログラムにあの修道士ウェアを載せるわけにはいかないので素敵な衣装も用意したのかな?なんてゲスゲス、しちゃいます。

フィナーレでは綺城さんが2番手っぽく見えました。
が、「ボカシ」感はありました。

多分ですが宝塚は天飛さんを路線に乗せており、綺城さんはたぶん、そうじゃないような、そんな気がしました。

でも・・・不思議ですねぇ。
私には、あんな地味な修道士ウェアを着ていても綺城さんがとにかくとにかく、美しく見えました。
段差のついていない貴重な席で拝めて、とても嬉しかった。
相変わらず細く長い首と腕と脚。美しく整ったお顔。歌もお上手で。
番手が全く気にならないわけじゃあないけれど、でも素直に、綺城さんを今後も拝みたい!って思いました。
なんか、綺城さんには命絶える薄幸な役が合いそうな気がするんですよねぇ。陰陽なら、陰っぽい。

一方の天飛さんは、陽なタイプですね。102期とまだ新人公演世代なのにものすごく声が良く、お芝居上手で、そして歌が上手い!102期といえば首席の舞空瞳さんに注目しがちですが、その次が天飛さんだったんですね。納得です。間違いない実力派です。

そして、上手すぎるからか・・・正直どうも、私には、印象に残りにくい。
ビジュアルにも技術にもクセやアクがないゆえでしょうか?
一緒に観劇した友人が「エル・アルコンのキャプテン・ブラックだよ」って教えてくれて、ああ!って思ったものの、コンビ相手のレッドを演じた愛月さんの事ばかり思い浮かび、ブラックが霞んでしまいます。

愛月さんは今回もクセのある声でした。滑舌が良いとは言い難いところもまた、魅力のひとつです。
背が高くて有沙瞳さんとの並びがキメキメで、本当にカッコよかった。

ただ・・・映画でのマノンのパトロンはいかにもな老齢のえろじじいなのに、宝塚版で演じた輝咲玲央さんや朝水りょうさんってば、どちらも超イケメンなんですよ。
素敵ではあるけれどお金のない愛月さんより、裕福で素敵な輝咲さんや朝水さんにくっつく方が賢いですよねぇ。なのに愛月さんに執着するんだからやっぱ宝塚版マノンはファム・ファタールじゃなく純愛ガールですね。

きっと・・・
「銀ちゃんの恋」も原作の「蒲田行進曲」をまるで無視した脚本なんだろうなぁ。予習になりました。銀ちゃんではどれほどに宝塚アレンジされているのか、とても楽しみです。

コメント

  1. めい より:

    たー様は綺城さんがほんとにお気に入りなんですね♡

    「出番が多いのが路線」ジェンヌOG先生は路線に乗れなかった方or下級生のうちに退団された方ですか?

    宝塚は下級生の間は全員、出番熱望!です。
    出番がどれだけあるか滅茶苦茶気になるそうです。

    紅ゆずるさんは下級生時「今日、香板発表やってんけどうち、プロローグ出た後最後まで出番無いねん・・・うちだけ無いねん・・・」と、他組同期に電話したと何かで読みました。

    霧矢大夢さんも下級生時病気で休演中、お見舞いに来た演出家に「出番減らさんとってくださいね!」と言われたとか。

    それが順調に出世してトップや2番手になると、出番あるのが当たり前なので出番熱から脱却できるのでしょうが、その前に退団してしまうと「とにかく出番!」が抜けないのかも。
    語らずにはおられない、出番への渇望ですね。

    それを感じてしまいました。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      「日々の色彩」管理人めいさん、いつもありがとうございます。はい、綺城さん大好きです!この度は近くで拝めて本当に嬉しかったです。

      ジェンヌOG先生ですが・・・すみません、申し訳ないのですがめいさんのご想像にお任せとさせていただきます。本当にすみません。

      下級生は出番熱望!なんですね。
      私は瀬戸かずやさんの「FOCUS ON」で、下級生時代の瀬戸さんが出番がなくてどれほどに悲しかったか、そして出番がない間どのようにすごしていたかを読みました。自分を選んでくれなかった宝塚を恨まず、自分に出来る事をして宝塚を愛し続けた瀬戸さんの姿勢に本当に本当に頭が下がります。
      紅さんや霧矢さんは、出番がなかったり病気療養中にどのような事をしていたんでしょうね。同期への電話や演出家へのお願いだけではなかったはずなんですよね。でもそこはナイショかな。

      娘経由で聞くOG先生の話には「へーっ!」な事も多々ありましたが、そこそこ長く通わせているうちに「ひと巡りしたかな」と感じました。ぶっちゃけ、同じ話を聞く事もけっこうあるようです。そしてこの「とにかく出番!」の話は頻度が多いようで。
      はい、先生にとって「語らずにはおられない、出番への渇望」かもしれません。

      タイミング良く自分に合う作品と出会い、出番があるというのはとても難しいのかもしれませんね。
      マノンの記事、読ませていただきました。
      私は有沙さんについて記事にしましたが、確かに愛月さんにとっても、学年を活かしきれていない気がします。
      原作がそこそこ重いだけに、なぜこの作品の初演をああもアレンジしてまで若手にやらせたのか、サトルに聞きたいです。

      コメントありがとうございました。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

      • めい より:

        こちらこそ、答え辛い質問をしてしまい申し訳ありませんでした。ごめんなさい!

        紅さんや瀬戸さんはトップや2番手という、組子が憧れる位置まで行けた人達なので、出番が無くて辛かった話も懐かしい思い出話として言えるんでしょう。

        霧矢さんの場合は主演バウ公演を病気降板した時の話なので紅さんや瀬戸さんとは立ち位置の違う
        話かもしれません。
        何でも出来る人で成績も良く、入団時から抜擢されてましたから。

        紅さんが出番が無かった時の話はナイショではなく、必死に努力したとインタビューで語ってました。
        小池先生が「スカーレット・ピンパーネル」新人公演主演に抜擢、1回だけの新人公演主演のチャンスを容姿と熱意でものにしたんですね。一気にファンが増えました。

        皆さんスターになって時間が経つと出番は確保されて当たり前なので、役柄のほうが気になるようですね。観るほうもですけど。

        • 関西の、たー 関西の、たー より:

          めいさん、いろいろ秘密にしちゃってすみません。夫や娘がうるさいのでどうしてもガードが固くなっちゃって。

          霧矢さん、膠原病で降板したんですね。
          過去に私もこういった、すぐに命に関わるわけじゃないけど治療の難しい病を患いまして、完治というか寛解の状態を薬なしでキープしています。
          とはいえ発病時は気が狂いそうなほどに辛かったので、霧矢さんも相当お辛かったんじゃないかと・・・復活し、トップスターになって本当に良かったです。

          紅さんは、そうでしたねw
          ジェンヌとしてはかなりざっくばらんな方のようにお見受けします。
          非・関西人にとって紅さんは「いかにも関西人(ないし大阪の人)」かもしれません。マイティ様だって大阪出身なんですけどねw
          そうそう女性姿の紅さん、ファーストサマーウイカさんと似ているような気がしませんか?でもウイカさん、テレビに出てこなくなってしまいましたね。

          出番が確保されたジェンヌさんは役柄が気になるんでしょうね。
          観ている側としてもあれこれ気になりますよね。
          観劇って実力がすべてだと思っていた私ですが、出演者の方々にどれだけ気持ちを込められるかが非常に大切なのだと、宝塚は教えてくれました。

          いつもありがとうございます。
          今後もよろしくお願いいたします。

タイトルとURLをコピーしました