観客マナーは、大劇場も大阪松竹座も同じ

OSK

大劇場の観客マナーが悪い、悪いと言われているようですが・・・大阪松竹座も同じです。
先日OSKの「夏のおどり」を観劇してきましたが、とにっかく観客の私語が多かった。開演前も幕間も、ザワザワしっぱなし。みーんな、女性の、声!
松竹座でも大劇場と同じく「会話はお控えください」のアナウンスが流れていたけれど、無視する人は無視している、というか、そもそも聞こえていないのかもしれません。

大劇場の観客の年齢層って高めですが、大阪松竹座もかなり、高めでした。松竹の興行はとりあえず観とくわ、みたいな高齢の観劇ファンがけっこういるのかな。

でね、思うんですよ。
長く生きてきたぶん自分の観劇スタイルへのこだわりがあるでしょうし、ひょっとしたら長年使い続けた脳の調子が少々悪くなっている可能性もある。
コロナは心配だけど、孤独も心配です。ひょっとしたら高齢者にとってウイルスより致命的かもしれないし。特に女性の高齢者にとって。

なので・・・
私は、開演前や幕間に高齢者、特に後期高齢者っぽい方が喋り倒しているのはさして気になりません。
先日の大阪松竹座では、思いがけずひとつ、賢くなったんですよ。
今回その体験を記事にしてみますね。
ヒマな方だけ読んでいただけると幸いです。

・・・

私の近くにいたのは、後期高齢者と思われし女性と、その息子と思われし男性と、その娘と思われし大学生くらいの女性でした。それぞれおばあさん、息子さん、孫ちゃんと呼ぶ事にします。

私はどこの劇場であれ開場したらすぐに入り、一番乗りを目指さんばかりに着席したいタチなんですが、3人はすでに着席済み。おばあさんは松竹座に通い慣れているようで、自宅のリビングにいるかのようにくつろいでいました。
そしてカバンからカサカサカサーッ!と音を立てながらスーパーの袋を取り出して「(息子)、(孫)ちゃん、ほら、これ」って。手渡した袋の中身はおそらく、飲み物やお菓子でしょう。そして今度はカサカサカサーッ!とカバンの中にまだあった別のスーパーの袋をまさぐり、お茶のペットボトルを取り出してプシュとオープン、吸い上げるようにズズッと飲んでいました。すかさず飴かチョコか、小さなお菓子をパクッ!
息子さんと孫ちゃんは受け取った食品には手を付けないものの、おばあさんに注意するわけでもなく。
おばあさんはまだ飴だかチョコだかが口に残っているんだろうに、話をしまくっていました。飛沫が気にならないのは大阪の大規模開場で一度目のワクチン接種を済ませたからかもしれません。どうやら息子さんが予約を取ったり送迎をしたらしく、そのお礼で松竹座にご招待、という流れだったようです。
なんせこちらは、黙りこくっているソロ活。おばあさんは孫ちゃんに経緯を説明したつもりなのでしょうが、ぜーんぶ私の耳にも入ってきました。

でね、本当の本当にね、イヤになるどころか、懐かしさすらあったんです。
私の祖母も、ちょこまかと飲み物や食べ物をくれるのが好きで、やはりスーパーのカサカサ袋に入れて渡してくれたんですよね。お茶を飲む姿にしたって、ペットボトルをさして傾けずに吸い上げようとするところがもう、ソックリで。

このおばあさんはきっと長年、カサカサ袋にお菓子や飲み物を入れて松竹座に持参し、開演前や幕間にずっと何かしら口に入れつつ喋り倒すスタイルで観劇してきたんでしょう。きっと開演したら静かになるんだろうし、好きなだけ喋って飲んで食べてくれたらいいわ、と私は思いました。松竹座は大劇場より席の配置がゆったりしているし、初日だったのですが空席がそれなりにあり、おばあさんの飛沫が心配になるのは息子さんと孫ちゃん、そして私だけのような環境でしたしね。

まったり聞き流すつもりが・・・状況が急変!
おばあさんの会話から「歌舞伎」が出てからは耳に集中してしまったんですよ。

「(孫)ちゃん、歌舞伎、観た事ある?」

「ないねん。海老蔵、観たいわー」

「・・・みんな、海老蔵、海老蔵、言うなぁ。歌舞伎を知らん人は。(孫)ちゃん・・・玉三郎が、ええねんで。知ってる?」

「知らない。海老蔵がいいわー」

「玉三郎、キレイなんやで。海老蔵も何度も観たけど、玉三郎がええで。(孫)ちゃんも玉三郎を観たらきっと、ビックリするで。今度・・・」

ここで開演を知らせるブーッの音が鳴り、会話修了。
あー、残念、って思ってしまいましたw
幕間で玉三郎トークがアゲインするかと思いきや、別の話になっていたし。

不思議です。
これまで何度も「玉三郎」は聞いた事があるけれど、顔はわからない。歌舞伎に興味がないから。
なのに、あのおばあさんの熱心なトークで急激に、玉三郎が気になりました。
でね、幕間の時にスマホで調べてみたんです。

「あーっ!この人!」

心の叫びですよw
そうなんです。月組の「WELCOME TO TAKARAZUKA」の監修をしていた人が玉三郎、坂東玉三郎さんだったんですね。プログラムを見たので顔は覚えていましたが、名前はすっぽ抜けていました。
おばあさんのおかげでひとつ、賢くなりました☆
ただ、同じ歌舞伎役者とはいえ、海老蔵さんは男役しかせず、玉三郎さんは女役がメインなんですよね?なので比較は難しいような気がするんですが、ま、あのおばあさんなりの尺度があるんでしょう。

すごく楽しかった月組のショーを思い出しました。
和モノですがゴージャスで派手。オリンピックがらみのインバウンドも意識していたのか、とにかくお金をかけている印象でした。
ちょうど観ていた夏のおどりに予算的なものを感じていたので少し、しんみりしました。

帰宅してさらに調べてみると、この夏に南座で「坂東玉三郎 特別舞踊公演」があるようです。
うむ・・・確かに美しいぞ玉三郎。生だとさらに、美しいんでしょう。
おばあさんは孫ちゃんを、この公演に誘おうとしたのかもしれません。
孫ちゃんが「海老蔵がいい」なんて言わず、おばあちゃん孝行してくれるよう祈っています。

コメント

  1. きづく より:

    たーさま、こんばんわ。

    いま、にざたまコンビの桜姫を観てきたところです。
    36年ぶりとのこと、これに最強ビジュアルだったらそりゃぁ伝説になるなと思うぐらい素敵でした。目が悪いのでどうしても双眼鏡でドアップにしてしまうと、そりゃ不老ではないもんなと思いますが、確かな実力と信頼感でもう完敗です。
    ただ、コロナで、活気がなかったな。

    私は、初めて玉三郎さんを観た『牡丹亭』『楊貴妃』が大好きです。匂い立つ艶やかさ、たおやかさに一発で魅了されました。
    YouTubeで、松竹などが色々動画をあげてますから是非とも。

    海老蔵さんは、女形をやられることもありますからね。立役のひとだ!って思ってる人が女形も素敵にやられることもあるので面白いですよね。
    亡くなった中村勘三郎さんだって、素敵な娘さんだったらしいですよ。私は、陽気なおじいちゃましか知らなかったので、それを聞いてビックリしました。
    片岡仁左衛門、坂東玉三郎、中村勘三郎は、幼なじみ?兄弟分?みたいな関係性だったらしいので。

    ずっと立役の家系だったのが、女形の名家になったり、立役も女形もやってこそだったり、家によって様々らしいですね。私は、あんまり詳しくないですが。

    中村米吉さんも気になる女形さんです。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      きづくさん、きづくさぁーん!「桜姫東文章」をウィキってみたんですが、とんでもないストーリーですね!絶句しましたよ。私がイメージしていた「歌舞伎の演目」と全然違うっ!って。
      年齢的にも、17歳の桜姫を、71歳の玉三郎さんが演じたんですね。たまげました。
      ポスターは玉三郎さんも仁左衛門さんも素晴らしく若々しく美しいのに、って思ってたらこれ、36年前の写真のアゲインらしいですね。
      このストーリーに、71歳が演じる17歳・・・なんかもう、興味津々です!
      活気がなかったの、残念ですね。客層の年齢の高さが影響しているかもしれませんね。
      あと私の思うに、チケット代が高いです。南座の特別舞踊公演、行きたいんですがこの価格ではためらいます。このポスターもン十年前のアゲインなのかな?

      松竹チャンネルでにざたま、見つけました!「廓文章」って作品で、太夫の玉三郎さんむちゃくちゃ美しい!
      なんというか、所作が女性らしすぎるほどに女性っぽいですね。
      仁左衛門さんは優しそうな素顔なのに、権助にせよ伊左衛門にせよ、ろくでもない男を演じているんだ・・・って、歌舞伎の男はこんなのばかり?

      玉三郎さんの「楊貴妃」のお姿も松竹チャンネルで観ました。
      この頭飾りといい、髪型や衣装といい、「鳳凰伝」のトゥーランドットっぽいですね。「牡丹亭」は玉三郎さんのお姿は確認できませんでしたが、こちらも中国の作品のようですね。

      歌舞伎俳優は立役(男役)も女形(娘役)も演じるんですね。
      私にとっても中村勘三郎さんは陽気なおじさん、おじいさんなイメージでしたが、素敵な娘役さんだったんですね。若くして亡くなられて残念です。
      海老蔵さんの女形姿、海老蔵さんのSNSで見ました!町娘みたいな感じ?玉三郎さんのゴージャス太夫を見た後だったのでシンプルに見えましたw
      海老蔵さんも権助を演じたんですね。この時の清玄はなんと、愛之助さんだったそうで。

      中村米吉さん、若いですねー!普通の会話の声はYoutubeで聞く事が出来ましたが、演技の時はどうなんだろうなぁ。
      私は去年無料配信されたスーパー歌舞伎「オグリ」で照手姫を演じた坂東新悟さんのあまりのキーの高さに「これは吹き替えだ!」って思い込んでしまいましたw
      この作品すごく面白くて、フルバージョンを2度再生しました。南座でやってくれるなら生で観たいけどやっぱ高いのかな、チケット・・・

      歌舞伎って、私が思っていた「高尚」「難解」とは違う世界なのかもしれませんね。
      生観劇したいです~
      よくわからないんですが関西では大阪松竹座より南座がメインなのかな?また、調べてみます。

      別の読者さんからも「にざたま」コンビの素晴らしさを「たまたか」コンビとして、コメントいただきました。
      あのおばあさんがここのコメントを読んだらさぞ喜ぶだろうになぁ。

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

  2. おかちゃん より:

    玉三郎さん頼みの歌舞伎の世界。観客席が満席にできる功労者さんです。
    昔はたまたかコンビと言うて片岡孝夫で出ていた今は片岡仁左衛門さんとのお二人はとても綺麗と人気でしたよ。

    シネマ歌舞伎でしか眺めてませんが素晴らしいです。

    片岡さんちの娘さんもジェンヌさんだったのに今はどうしてるんだろう。89期のお披露目の公演が退団の演目でした。

    繋がってくるとどんどん宝塚歌劇は深掘りできるネタが多数です。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      おかちゃんさん、別の読者さんからも片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんのコンビがいかにすごいかコメントいただいたんです。
      本当にすごいコンビなんでしょうね。
      桜姫東文章の復刻版ポスター、むちゃくちゃキレイなんです。36年前にリアルタイムで観劇出来た方々が羨ましいです。

      あのおばあさんは、「歌舞伎と言えば海老蔵」と、特に若者が思っているのが不満なのかもしれません。海老蔵さんはイマドキの宣伝のやり方が上手ですもんね。宝塚のような「SNS厳禁」ルールはないようですし、若手歌舞伎役者さんがどんどん、SNSを活用してくれたらと思います。

      仁左衛門さんの娘さん、汐風幸さんという男役スターだったんですね。一方、息子さんの片岡孝太郎さんは女形をしていたそうで、面白いですね。
      芸能の世界って広いようで狭いのかな?
      ホント、繋がってくるとどんどん深堀り出来るネタが多数なんですね、宝塚は。

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

  3. いちご より:

    たー様こんにちは。
    大阪松竹座の幕の画像みて懐かしくなりました。
    6年くらい前に一度歌舞伎を観に行き、こんな賑やかな場所に劇場があるなんて!!と驚いたことがあります(^ ^)
    記念にこの幕と同じ柄の手ぬぐいを買って帰りました。

    玉三郎さまは、高齢なのに今もしなやかて美しい女形をされますよね。
    鷺娘が美しいので、ぜひYoutubeで観てください(^ ^)
    玉三郎の名を継ぐのは誰でしょう?
    個人的には中村七之助さんではないかと思っていますが、、

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      いちごさん、玉三郎の「鷺娘」、「さぎむすめ」なんですね。「わしむすめ」かと思ってしまいました・・・でも「鷲娘」で検索してもちゃーんと出てくるから同じ過ちを犯している人はたくさんいそうですwww
      早変わりを何度もしていましたね。早変わりは宝塚のお家芸かと思っていましたが、歌舞伎から拝借したアイデアなのかな???いやー、もう、驚きがいっぱいです。
      玉三郎さん、イナバウワーみたいな動きもあってすごい、すごいです。
      中村七之助さん、ちょっと見ただけですが所作の女性らしさが素人目にも伝わりまくりです!お顔は私には、玉三郎さんの方が美人に見えます・・・
      それにしても歌舞伎の女形の着物姿って、少々、衣紋を抜きすぎていません???

      大阪松竹座、いいですよね。
      あの緞帳と同じ手ぬぐいがあるんですね。今度チェックしてみます。
      私は何度もミナミはブラついたはずなのに、あんな厳かなな建築物がある事、知りませんでした。
      歌舞伎も観たいんですが・・・もうちょっとチケットが安ければなぁ・・・
      これ、魔界転生でも思った事です。次のコメントに返信しますね。

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