もともと「いったん気になる事があると、ただひたすら気持ちがそちらに集中しがち」な性格をしている私。
そのせいでメンタルを病んだため「同じ轍を踏まない」って決心したにもかかわらず、雪組「ヴェネチアの紋章」「ル・ポアゾン」ライブ配信ではとにかく、夢白あやさんに気を取られていました。
なにこの妖艶さ。
宙組「フライング・サパ」のアゲインでしたねぇ。
フラサパでは夢白さん、「ワケアリでスレ女になった元お嬢様」で、はっきり言ってヒロインのトップ娘、星風まどかさんを食っていたように私は感じたんですね。
とはいえその後雪組に組替えし、「fff」では随分とおとなしい無難な役、演技に収まっていました。衣装もエコノミーな感じのドレスだったし。
まぁ組替え早々、それも雪組トップ夫妻の退団公演なのですから、おとなしくするしかないですね。
でね、
様子見を兼ねて、トップ夫妻が変わっても夢白さんはしばらくはおとなしいままだと、私は思っていたんです。
しかし!
(以降、ストーリーのネタバレありますのでご了承ください)
「ヴェネチアの紋章」での夢白さんは包み隠さずオーラを放出しまくりでした。
まだ大劇場お披露目が済んでいない朝月希和さんを食っていたと、私は、思いました。
しかも役柄は遊女ですよ、ユージョ!
ただのユージョじゃなくリッチなドレスに身を包んだ高級ユージョ!しかも本当の職業はスパイ!
と、どこまでもすんごい設定だったりします。
いやぁ、今後が楽しみですね。
朝月さんは高学年という事もあってか、控えめなトップ娘のように感じます。一方で7期も下の夢白さんはギッラギラ!
この若さでスレ女やユージョを演じるんですから、今後は花魁でもメルトゥイユでも何でもやっちゃってもらいたいです。
私、「仮面のロマネスク」がすごく好きでね、メルトゥイユには本来、純粋そうな童顔の、ピュアっぽい娘役さんにやってもらいたいと思っていたんです。意外性を求めて。ですが私が勝手に白羽の矢を立てた遥羽ららさんは退団が決まっちゃったし、いっそいかにも悪女、魔性の女、ファム・ファタールが似合いそうな夢白さんにやってもらいたいなぁと今は思うようになりました。
・・・
さて、ここからは「ヴェネチアの紋章」の感想を少々。
もうねぇ、思っていた通りの、シバターらしいヅカヅカ作品でした。
ややこしい歴史的な背景は抜きにして超ウルトラザックリ言いますと・・・
能力あるにも関わらず「妾の子」という理由だけで父親から粗末に扱われる、好きな女性と結婚する事も出来ない青年が、怒りや恨みを糧にして突き進み、途中まで上手くいってたわりにあっけなく玉砕する。
というだけの話です。
アルアルで新鮮味のない、洋の東西を問わず使える設定ではありますが、洋だと衣装が華やかで良いですね。
彩風咲奈さんの長い長~い腕脚が、ゴージャスな洋モノ衣装に見事にマッチしてました。黒いロングのウィッグもすんばらしくお似合いでしたし。
愛媛県民の方々にとってさぞ誇りでしょうねぇ、ホンマ。
彩風さん演じるアルヴィーゼは・・・
故郷ヴェネチア共和国では「元首の息子とはいえ所詮妾腹」な扱いを受け、朝月さん演じるリヴィアとの結婚も叶わなかったので、出自関係なく出世できるトルコで活躍します。
で、トルコから「オーストリーに取られちゃったハンガリーを取り返してよ、そしたらハンガリーの王様にしてあげるから♪」ってそそのかされます。
「ハンガリー王になったら俺も大物だぁ!リヴィアと結婚出来るしぃ!」とヤル気マンマンなアルヴィーゼ。ヴェネチアでは父親に見返す事が出来るし、トルコでは偉いさんになれるしでウハウハなはずでした。
しかし!キリスト教国だけで同盟を結ぶ事になり、キリスト教国のヴェネチアと非・キリスト教国のトルコは決定的に分断する事に。
父親から大切にしてもらえず選んだトルコですが、トルコにとってもアルヴィーゼはただの「使い捨ての駒」で、大切な存在ではなかったんですね。
戦いに劣勢となり父親とトルコに援軍を頼んだのに、どちらからも見放されたアルヴィーゼは忠実な仲間たちと共に討ち死にします。
死ななくても良い仲間が自ら志願して共倒れするところといい、死んだスターとヒロインが天国で幸せにすごしている事を示唆する真っ白衣装でのダンスといい、ヅカーッ!な感じです。
あと、ちょっとフカヨミかもしれませんが、
優柔不断だったり八方美人だったり、どっちつかずだとこっぴどい目にあうよ!
という教訓めいたところがあるかもしれません。
まぁ実際、学校なり職場なりママ友なり、グループが複数ある世界で八方美人や優柔不断にしていると、ココぞというところでボッチになるんですよね。
でも・・・
どれほどに仲良くしていても裏切られる時は裏切られるし、ココぞの時は誰も助けてくれない事がほとんどなんですよw
身も蓋もない話ですが、事実。
なのでボッチでもいいんですよね。気楽だし、現在の日本ではボッチで殺される事はないし。
シバターの教えがあるのだとしても参考程度で良いと、私は思っています。
アルヴィーゼとリヴィアのしくじりの元凶は、欲張った事じゃないでしょうか。
状況的に愛か地位、どちらか片方しか選べなくて「駆け落ちしたら地位を失うから」と別れたふたり。これ、愛を選んで地位を捨て、ふたりボッチで生きてたって良かったんですよ。どちらも欲しがったからどちらも得る事が出来ず、命を落としました。
驚いたのは、あたかも「泣く泣く別れて」みたいな展開だったのに実際は別れる前にちゃっかり娘を作っていて尼僧にあずけていた事。シバターよ、これはちょっと無理過ぎない?
リヴィアは30歳も年上のプリウリ(奏乃はるとさん)と結婚させられて可愛そうだったけど、終わってみれば「隠し子がおり、隠し子の父親である若い男のもとに走った挙げ句、その男の後追いで自死した嫁」の夫となってしまったプリウリも随分と気の毒です。
哀れなプリウリよりもっと可愛そうなのが、アルヴィーゼとリヴィアの娘。
産まれて早々に尼僧に預けられ、やっと迎えに来たオジサンがなんと、自分と結婚しようとするんですから。
迎えに来たオジサンは・・・綾凰華さん演じるマルコ。
綾マルコにオジサンのイメージはないんですが、アルヴィーゼ、リヴィアの娘はまだ10歳なんですからオジサンに見えたはず。マルコにしたってこの娘が結婚できる頃には自分がかなりオジサンになるとわかっているはずなのに「あの子と結婚する!」宣言とは、どうゆう事?
リヴィアと同じ苦しみをリヴィアの娘にも与える事になるんですよね、これ。
って言いつつ・・・
真面目な話、上手くいく可能性はあるかもしれません。
父親に愛されずに育った娘は、付き合う人に父性を求めがちらしいので。マルコはイケメンだしね、少々オジサンではあれ夢中になるかもしれません。
ちなみに父親がクズだった私は若い頃、付き合っている人に理想の彼氏であるだけでなく、理想の父親でもあって欲しい願望がありました。それで「重荷の女」認定されてフラれちゃったんですよね。当時はフラれて「どうして?」「私がブスだから?」って嘆いていたけれど、今の私には容姿だけが原因ではなかったとわかります。容姿も遠因ではあったのでしょうが(涙)
と、どうでもいい話を差し込んだのですがさらにもうひとつ、まったくもっておまけな話を・・・
プロローグで何故か、「聖書にある4つの福音書のうちひとつを書いた聖マルコ」うんたらかんたらとかいった台詞があったんですね。
4つの福音書があるのは、新約聖書なんですよ。
つまり、プロテスタント向けの聖書なんです。
ヴェネチアはカトリックだったはずで、だとすると旧約聖書を愛読するはずなんですね。
劇では「キリスト教国で同盟」とね、カトリックかプロテスタントを明言せずボカしていたけれどカトリックじゃないかなぁ。なのに福音書?なんで?と、聖書をほんの少しかじった無神論者の私は、思ったのでした。
ちなみに福音書は「イエスの誕生→死→復活」のあらましなんです。
同じ出来事をマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4人が書いているんですが、随分と描写が異なっているような気がします。
同じ出来事を記しているのに4つもあるのは、「ひとつにまとめられなかった」という事かもしれません。
「真実はひとつ」のはずのようで、実際は当事者それぞれ、異なっているんですよね。
これ・・・現代にも通じます。宝塚にしたって同じお芝居を観ても観客ひとりひとり、違う事を考えていますから。
コメント
夢白あやさん魔性の女か小悪魔かって感じでよかったですね。
ユージョといっても日本で言うところの花魁クラス、しかも置屋に支配されないフリーランスなのでリッチだし、自由に客は選べるし、なかなかの暮らしぶりです。
カトリックも新約聖書読みます。
福音書を書いた4人も聖人になっています。
ヴェネチアは共和国時代から現在に至るまで聖マルコを守護聖人に定めています。
時代的にはルターが宗教改革を始めて間もないときなので、キリスト教国=カトリックだと思いますよ。
しばいぬさん、はい、夢白さんはもう「鼻に付く」レベルを超えて突き抜けた感があって凄かったですね。ここまで魔性で小悪魔でファム・ファタールならもう、何でもやっちゃって!って思いました。ゾクゾクする娘役さんです。今回は綾さんといちおうカップルっぽくなっていましたが、姉さん彼女に見えて仕方なかった。実際は5期も下なのにw
ユージョと呼ぶかショーフと呼ぶか迷ってユージョにしたのですがそうですね、フリーランスだから花魁より自由ですよね。でも本職はスパイだったような?それともフリーランスユージョとして活躍中、スパイにならない?ってスペインから勧誘されたのかも。
本当に楽しみな方ですね。ただ、トップ娘!となると今の雪組では夫がどうなるのかなぁ?イメージが浮かばないです。
こんな事を言っても無意味だとわかっているんですが、芹香さんとの並びが良かったような気がしまして。
さて、カトリックも新約聖書を読むそうで、教えてくださりありがとうございます。
私の手持ちの旧約聖書は新共同訳です。共同の名の通りカトリックとプロテスタントどちらもお墨付きだと聞いています。プロテスタントの友達から「とりあえず福音書だけは読んでみて!」と勧められ読みましたが細かな事は覚えていません。すごく納得のお説教もあれば、絶対に受け入れられないお説教もありました。
共同訳があるとはいえ何となく、カトリックは旧約がメインでプロテスタントは新約がメインだと考えていたのですが、思い込みでしたね。
今度友達に、福音書を書いた4人が聖人になっている事について質問してみます。
コメントありがとうございました。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。
関西の。たー様
いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。
聖書の「旧約聖書」「新約聖書」の件ですが、ちょっと気になりましたのでおせっかいながら。
聖書に文語訳と口語約があったり、学校でマルティン・ルターの宗教改革で聖書のドイツ語訳がなされた、とか習うので混同しがちですが、この「約」は「翻訳」の「訳」ではなくて「契約」の「約」です。
「旧約聖書」は、イエス・キリストが現れる以前の、神とユダヤ民族の契約。「新約聖書」は救世主イエス・キリストが現れた後、神と新たな契約を締結した教え、と言う意味の「新約」です。
ユダヤ教徒はイエス・キリストを救世主と認めていないので、「旧約聖書」のみが聖書ですが、カトリックもプロテスタントも「旧約聖書」「新約聖書」両方とも聖書です。
ちなみにイスラム教徒も、ユダヤ教徒やキリスト教徒と同じ神を信じているので、「旧約聖書」「新約聖書」とも、大切な古典であり、歴史的にはイスラムはキリスト教徒やユダヤ教徒に寛容でした。ただ、後から現れたムハンマドによる「コーラン」がより新しく、完全な教えとされています。(なのでトルコでキリスト教からイスラム教に改宗した人物が活躍できる土壌があった)
「宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ」管理人こんちゃんさん、いつもありがとうございます。こんちゃんさんの記事のおかげで綾さんの「CDX」発言に戸惑わずに済みました。
聖書ですが・・・
私の記事やコメントでは、あたかも同じ聖書が「旧訳」と「新訳」で別れており、それぞれカトリックとプロテスタントが愛読していると言わんばかりですよね。ご心配かけてしまいすみません。
私はちゃんとした聖書は新約しか持っていないものの、里中満智子さんのマンガの旧約聖書を読みましたので、旧約と新約の中身がガッツリ違う事は把握しているつもりです。こんちゃんさんのおっしゃる事をもっと端的に言うと「ビフォアーイエス、アフターイエス」とでも言いましょうか。
このマンガに触れたのは、アウグストゥスのせいなんです。おかげです、かな?
アウグストゥスを観劇して脳内がちょっとしたローマ帝国ブームとなり、古本屋で巡り合った里中満智子さんのクレオパトラでかなり勢いが付き、里中さんの作品に旧約聖書があったので購入してみたんです。
里中マジックのおかげか?難しさを感じずすんなり読めました。イスラム教も旧約聖書ベースである事、ユダヤ教は救世主はまだ現れていないと考えている(イエスを救世主と認めていない)事もマンガに書いてました。私としてはルツ記のルツが女性の名前であったのがツボで、いつか女の子の猫や犬を買ったらルツと名付けたいほど気に入っています。
いろいろ書きましたが、所詮は付け焼き刃です。
キリスト教国のアルヴィーゼがなんでイスラム教国のトルコで?出自を問わぬと言っても他にも国はあるのに?って思っていました。こんちゃんさんのコメントを読み納得しました。
宝塚ブログをきっかけに、宗教にも詳しくなるチャンスが巡ってくるなんて素晴らしいですね。
いつもありがとうございます。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。