星組公演1回目観劇感想をぼちぼちシメましょうか。対象にふさわしいのはやはり、トップスター礼真琴さんでしょう。
といっても・・・我慢しきれずこれまでの記事にポツリポツリと漏らすというか、礼さんについてチラ述べしているんですけどね。この記事に気持ちをまとめてみます。
どうも私には、礼さんが、あ え て、難役を選んでいるような気がしてならないんです。
難役の定義もいろいろですが、ここでは「自分の持つ個性にフィットさせるのが難しそうな役」を指しています。
礼さんの場合、
キャラとしては陰鬱だったり死んだり地味だったり、
ビジュアルとしては男らしいお顔や高身長が似合う、
こういった役はフィットさせるのが難しいように私は、思います。
今回の柳生十兵衛は死にはしないけれど、私にとって「洒落っ気のない大男」のイメージです。
礼さんさんはそういったキャラを演出しているように感じましたが、地味な衣装だとお顔やプロポーションの影響がより大きくなります。
さらに和モノは草履がデフォなので身長の調整が難しくなるんですよね。ただ、宝塚は「和モノにもブーツ」が当たり前となっており、この度の十兵衛も草履だけでなくブーツも履いていたような気がします(うろ覚え)。
履物だけでなくいろんな事がうろ覚えなんですが、忘れられない残念なシーンがありました。
わりと最初のうちの「第三場 江戸の市中」です。
さっきまでサムライ姿だった十兵衛が、髪をおろしロングヘア状態になって、服装も身分が高い人のようになり、そしてそして、両目をつぶって登場します。
なんかね、あまりにも唐突な感じがするんです。戸惑った観客もいるような気がします。
プログラムには「十兵衛は三沢玄達に扮する」といった事が書いてあるけれど、なぜ両目をつぶっているかの説明はないし。
ここを十兵衛に説明させると、
「新郎新婦が忽然と行方不明になる奇妙な事件が立て続けに起こっているんで、俺が新郎に扮して原因究明したいんだけどさぁ・・・ホラ、俺、父さんとの剣の特訓中に左眼を斬られちゃって隻眼でしょ?すでに江戸中で『隻眼の凄腕の剣豪がいる』と噂になっちゃってるから、ひょっとしたらいくら扮装を頑張っても隻眼じゃあ俺ってバレちゃうかもしれないじゃん?だから両眼とも見えない三沢玄達に扮する事にしたんだ。名案でしょ!」
ってな感じです。
明かされれば単純な話ですが、お芝居を観ていてもこのあたりの説明がなかったように思います。
他の記事でもお伝えしていますが私は漫画版で予習していたんです。
なのでストーリー展開そのものには戸惑いはなかったけれど・・・
「何故、目ヂカラのある礼さんに両目をつぶらせる演技をさせるんだろう?」
という戸惑いはありました。
たくさんのエピソードがある長い原作からこのシーンをわざわざ選ぶ必要はないのに、と戸惑ったんですよ。
勉強熱心な礼さんです、文庫なり漫画なりで原作を読んだと思います。
トップスターにどんな権利があるかはわかりませんが、このシーンを何かしら変更する(隻眼のままでやっちゃおうとか)、お願いをしても良かったように思うんですね。
礼さんには
「難役から逃げない」
というスタンスがあるのかもしれません。
逃げないどころか、あえて難役を選んで演じ、自分のモノにしたいと考えているのかも。
礼さんは「勉強は苦手教科から取り組む」、「嫌いな食べ物が出てきたら真っ先に食べる」タイプに感じます。
そう、礼さんは、なんか、なんか、なんか・・・
とにかく何においても頑張るタイプに感じるんです。
普通の人間は苦手教科を頑張ったら楽しい事もしたいし、嫌いな物を頑張って食べるのはその後、好きな物を食べるため。
けれど礼さんはずっと頑張ってばかりで、楽しい事をしたり好物を食べたりといった事をほとんどしていない感じがします。
礼さんが凡人とは異なると、もちろん承知しているんですよ。
ですがどんな人間にも必ず、限界はあります。
私は礼さんが今後、礼さんにフィットしやすい役を演じてくれたらなぁと切に願っています。
具体的な作品名を組を考慮せず申し上げますとミーマイやナイワなんてどうですかね。歌とダンスがたっぷりで、そして誰も不幸にならないハッピーエンドなブロードウェイ・ミュージカル、礼さんに似合いそうだと思いません?
宝塚作品ならハンナのお花屋さんなんかどうかな。フェアリーテイルも・・・って、意図してないけれど花組ばっかり(大汗)
そうそう次の花組公演は、タイトルからしてハチャメチャストーリーな予感はするものの、きっとトップスターの柚香光さんにフィットした主人公なんだろうという予感もさせてくれます。
はいからさん、ナイワ、アウグストゥスに悲しみのコルドバ・・・いずれもフィットしていましたので。
任期がロングになりつつある真風涼帆さんも見事にフィットした役ばかり。
私は礼さんは長期就任する可能性が高そうに思うんです。なのでホンマ、フィット感を優先した役もやっていただきたい。もう次は決まっていますがこれまた、難役のニオイなんですよねぇ。
劇団が礼さんに「お前は芸達者だから」と難役をあてがっているのかもしれないけれど、私は礼さんご自身に「あふれんばかりの難役チャレンジ精神」があるように感じてなりません。
・・・
ここからはオマケです。
礼さんは「千葉真一さんをお手本にした」を公言していました。
お手本映画は「魔界転生」のはず。山田風太郎ワールドのドツボにハマった私は漫画版で忍法帖シリーズのうち3つを読み、魔界転生を気に入って映画版のDVDを買ったんです。
千葉さんの十兵衛、とんでもなく素晴らしいんですよ。礼さんが尊敬しお手本にするのも当然でしょう。
中でも海岸での緒形拳さんとの一騎打ちと、燃え盛る城の中でのジュリーとの対決、このふたつのシーンが見ものです。
このDVDを購入してほんの数ヶ月で、ニュースで千葉さんの訃報を聞いて・・・思いました。
ひょっとしたら千葉さんは、十兵衛を演じた頃から病に倒れる時までずっと、寄る年波なんぞ俺には関係ないと考えていたかもしれない。あんな十兵衛を演じる事が出来たんだもん、そりゃあ自分の身体能力やスタミナには自信があっただろう。
って。
十兵衛を演じた当時の千葉さん相手なら、コロナなんてキャイ~ンと尻尾を巻いて逃げていたでしょう。
けれど、40年の年月は確実に、千葉さんのようなスーパーマンをも、老化させたんですね。
アラフィーの私は今のところ、加齢によるデメリットよりメリットを多く享受しています。が、メリットは現在がピークであり今後はデメリットがどんどん増すのだろうと、しんみり思いました。
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