梅芸版ドン・ジュアン、観たよ!

ジェンヌさん

うっ!
舞台の上手が4分の1は見切れているな・・・

9,500円もする席としては何とも納得いかぬ、梅田芸術劇場メインホール3階の端っこの席についた私。覚悟していたはずなのに着席後、小さくため息を付いてしまいました。

プログラムは「ハードカバーの大きな絵本」のように重厚なつくりになっており、価格も3,000円と何とも重かったので購入は見合わせる事に。前回の記事でお伝えした通り予習を済ませていたので大丈夫だろうと思いまして。

実際、大丈夫でしたよ。
というかこの作品、むっちゃストーリーがわかりやすいんです!
宝塚の脚本家が演出担当したとは思えないくらい。
具体的に名前を出してしまうのもアレですが、ほら、「マノン」みたくキチィーッとした原作すらハチャメチャ化させる事がままある宝塚アレンジでしょ?なのにドン・ジュアンはストーリーに破綻がなかったんですよ。
生田大和さん、疑ってごめんよ~
って思ってたらカーテンコールでご本人登場w こうゆうの、初日ゆえの楽しみですね。

さて、以下に感想を。

キャストをわかりやすくするため、公式サイトのキャスト紹介にフィルターをかけてみましょうか。


これ、予習後の私が感じたフィルターですw
こういった先入観で観劇しまして実際ほぼ、当たっていましたw

特に印象的だったのが上口耕平さん。歌がまぁ、上手いのなんのって!しかもルキーニのごとく語り部も担当していました。とにかく滑舌良好、声良好!すんごい好みの声に歌でした。

平間壮一さんも実力派ぶりを見せつけてくれまして、上口さんとどちらが好きかはもう、好みですね(私は上口さん)。

藤岡弘さんが50代なかばにして授かった天翔愛さんはどうしてもそうゆう目で観てしまいましたが、想定よりはお上手でした。
ただ、動きながら歌うのは苦手なようですね。ジッと立ったまま歌うには少々長くても安定しているのに、エルヴィラの一番の見せ場である「ドン・ジュアンへの当てつけな半裸踊り」シーンでは、服を脱ぎながら歌って踊ってとやらなくちゃいけない事が多すぎて大変だったんでしょう、ずいぶんと歌が犠牲になっていました。スタミナ切れな感じもしましたね。
宝塚版では有沙瞳さんがエルヴィラを演じたそうで、全く同じ事をしたのならまぁ正直、有沙さんの方がうまくやりこなす気がします(観ていないのであくまで推測)。
そういえば有沙さんってば、望海風斗さんのお嫁さん候補だったなんて噂を耳にした事があるんですが本当ですかね?この噂があった当時私はまだヅカファンじゃなかったんです。
とまぁ、やたら有沙さんを思い出しながら、見せ場を必死で演じる天翔さんを眺めていました。

騎士団長及び亡霊を演じた吉野圭吾さんはまんま、想定通りでしたw
さらにタップダンスもお上手で。

わざわざ名前の横に「東京バレエ団」と付け足してある上野水香さん、きっと台詞や歌はほとんどないんだろうと思っていましたしその通りで、ピンマイクを付けていない潔さ。
舞台中央~下手でのダンスでしたから、上手がだいぶ見切れるガッカリ席からでもしっかり拝めて良かったです。歌はどこに座っていても聞こえるけれど、ダンスは見えなければただただ残念なだけなので。
とにかく申し分ないダンスではありましたが、上野さんはオーバー40で正直、「アンダルシアの美女」という、ドン・ジュアンのワンナイトラブの相手役としてはもうちょっと若い子の方が良かったような気がしないでもないです。

でね、上野さんが官能的なダンスを披露している時に歌っていたのは・・・則松亜海さんでした。

公式サイトでは50音順に名前が載っているだけのアンサンブルですが、実際はアンサンブルの中にも階級があるようです。則松さんは「女性アンサンブルの筆頭」な感じでした。アンサンブルあるあるで皆で似たような衣装を着てズラと出てくるわけですが、その中でも則松さんにはソロで歌うシーンがけっこうある上に少しではあれピンでの台詞もあって、存在感アリアリでした。
梅芸所属だったのにフリーになったのは舞台人生のフェードアウトを示すのか?と気になっていましたが、実力があるゆえにフリーでも仕事を得られるって事なんですね。
ただ、約10年前の宝塚時代に、トップ娘になる可能性があったようには見えなかったです。別格な雰囲気でした。

イザベルを演じた春野寿美礼さんはヅカファンなら知らない人はいないレジェンドOG。
円盤などで聞く限り現役時代からやや高めのキーだったように思いますがさらにキーを上げ、歌いやすい音域でオサ節を披露してくれたように思いました。
イザベルは「たくさんの男性が通り過ぎていった酒場の女」な感じ。でねぇ、主役のジャニーズ君の「年上の元カノ」設定なのですが、どちらかというとお母さんっぽく見えたかな。

知名度だけで勝負かと思っていた鶴見辰吾さんですが、梅芸版初演の2019年に続き2021年の再演でもドン・ルイ・テノリオを演じているだけあって上手かったですね。
テレビや映画で活躍する俳優は自然さが大切、しかし舞台俳優はわざとらしさが大切だと私は思っていまして、鶴見さんは前者な俳優だと思っていましたがしっかり舞台俳優らしさも感じさせてくれました。

以上でフィルターの説明は終わりw
続いて主役ふたりの感想を述べますね。
遅くなりましたが、この舞台を見ようと決めたのはそもそも、真彩希帆さんがヒロインだから。
演じるマリアなんですがこれがね、1幕ではなかなか出て来ないんですよ。やっと出てきたと思ったら随分と地味な衣装だし、歌はあまりないしで。
しかし2幕ではしょっぱなから出ずっぱりで歌いまくりw
ちょいとメルヘンがかかったラブラブシーンもあるんですが、相手が本物の男性ゆえメルヘンだけでは終わらずリアリティも感じさせてくれましたねぇ。
マリアは可愛いだけじゃなく、婚約者がいながらあっさりとドン・ジュアンに乗り換え、婚約者に怒られても「昔の男よ~♪」と歌ってのける度胸のある女。真彩さんはそのあたりしっかり演じていました。
ほんまほんま、何もかも申し分なかったです。
まぁその、あえて文句を言えば、真彩さんは欠点がなさすぎる。
あんまりにも歌も演技も上手くて美しくって若くって、欠点がなさすぎるんですよ。突っ込みどころがなくって困っちゃう。
今後どの作品に出てもすべて完璧、つまり成長ぶりは拝めないんだろうなと思ってしまったり(ヅカ的思考???)
そんな真彩さんもトシはとるんですから、10年後どうなっているかが楽しみですね。

そんな超実力者な「きほマリア」と出会い本当の愛を知ったドン・ジュアンを演じた藤ヶ谷太輔さんはなんせ、ジャニーズ。ここの所属タレントは私の脳内で「皆、口パク」で、藤ヶ谷さんそのものは知りませんでしたが歌はアカンのだろうという先入観がマックスでした。1幕でね、登場してもなかなか、口を開かないの。なので余計に不安が募ったのですが・・・
話したり歌ったりが始まるとなかなかどうして、お上手でしたよ。支える要員であろう同世代のふたり(上口さん、平間さん)にはそりゃあ、舞台俳優としては敵わないかもしれない。けれど十分に演じてくれていたし、華やかさがありました。
2幕しょっぱなのマリアとのラブラブシーンでは上半身のみとはいえ「ハダカの太輔」でね、大サービスしてくれましたし。
しかしながら私は脳に何らかの変調が起こっているらしく、どうもリアルな男性の胸筋やちくびよりも男役のタキシード姿の方が興奮するようです。鍛えられた裸身で男らしさをアピールする男性より、服を脱がずに男らしさをアピールする男役の方がテクニックとしてかなり難しいと思うんですね。そのあたりに尊さを感じるというか。

まぁそれでも、リアル男性にしかない魅力もたまには拝みたいものです。
生観劇がベストですがチケットが高いので、配信もあったらいいのにな。
あっ!でもドン・ジュアンは藤ヶ谷さん主演ゆえジャニーズの圧力で配信や円盤化は難しいかも?
とはいえジャニーズだってコロナは大打撃になっているはずだし、運営陣が変わったんですから何があるかわかりません。

昨日の夕方の梅芸前です。もう、大混雑でしたよ。
劇場内も3階席がほぼ満席だったんですからおそらく1階2階もそうだったんじゃないかと。
これほどの密だとまだまだコロナが怖い方もたくさんいると思いますし、「チケット買えなかった」な声も聞こえています。
配信してくれたらなぁと切に願います。

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