男役は男にあらず、女形は女にあらず[映画 夜叉ヶ池 感想]

歌舞伎

いや~、好評のようですね花組全ツ。
ついつい情報を探してはつまみ読みしてしまいましたが、生観劇を控えているんですからそこそこにしようっと。

でね、今回は読者さんがコメントで勧めてくれた映画「夜叉ケ池」の感想を記事にしてみます。

宝塚と関係ないやん!
ですって?
ノンノン、ノ~ン!
だってこれ、「龍の宮物語」の原作でもあるんですよ。
瀬央ゆりあさんと有沙瞳さんが主演した名作ですね。
もっとも龍の宮は、夜叉ケ池と浦島太郎をミックスさせているんです。
なんでミックスさせたんやろ、って思いません?私は思っていましたが、映画の夜叉ケ池を見たら理由がわかったような気がしました。

おそらくサッシーは、龍の宮の脚本を書くにあたり、夜叉ヶ池をメインにしたかったんでしょう。
けれどそうすると、夜叉ヶ池の龍神、白雪姫(龍の宮では玉姫、有沙さん)と、学者(龍の宮では書生、瀬央さん)との直接の接触が、なくなってしまうんですね。ヅカ的にここは何としても接触させなくてはならず、とはいえ日本を代表する小説家である泉鏡花が書いた夜叉ヶ池をあまりにアレンジしまくるのもマズイなぁという事で「浦島太郎もミックスしていますから」になったんじゃないかと。浦島太郎は作者不明ですからね。って、ぜーんぶ、私の勝手な想像ですけど。

私は宝塚が好きなんですが浮気心が旺盛で現在ポチ、じゃなかったタマ様ブームが真っ盛り。
坂東玉三郎さんですね。
「夜叉ケ池」の主人公は、当時29歳でまさに全盛期だった頃のタマ様。
円盤で満喫出来て本当に良かったです。

が・・・

流石のタマ様でも、やっぱ本物の女性になりきる事は出来ないんだな。
という事がよーーーくわかった映画でもありました。

ただの女形(おやま)じゃなく、立女形(たておやま)、主役を張れる女形の中でもトップオブトップな、タマ様。
そんなタマ様は夜叉ケ池で、龍神である白雪姫と、あと、百合という女性を演じます。二役ですね。
百合は、とある村で1日に3度鐘を撞く夫を持つ普通の女性です。

白雪姫のタマ様は、超典型的な立女形。
立女形はほとんど赤い衣装なので「赤姫」とも呼ぶらしいです。
白雪姫もまさに超・赤姫。
かねてよりパソコンやタブレットで動画サイトのタマ様を観ていましたし、歌舞伎観劇デビューもタマ様の公演で果たし2021年夏のタマ様赤姫のお姿も観た私ですが、「夜叉ケ池」に登場する1979年のタマ様赤姫のお姿にはもうむちゃくちゃ、圧倒されました。
とにかくとにかく美しくて、妖艶で。はぁぁ~と、身体中がしびれるような感じ。なんせテレビ画面いっぱいに、デジタルリマスターされた全盛期のタマ様赤姫のアップがドドン!ですから。

しかし、
夜叉ヶ池でタマ様が演じたもうひとりである、普通メイクに小紋姿の百合は、あくまで私の感覚では超絶美女には、見えませんでした。そうゆう設定なのだけど、しっくりこなかった。
はっきり言って、女性にすら見えなくて。あくまで、女性を演じている青年にしか見えなかったんですよ。
また、百合の姿を見てタマ様が高身長である事に気付き(後で調べたら173cmだそう)、この背の高さが赤姫としては映えるのでしょうが、普通の女性っぽくは見えない要因になっていました。

タマ様百合の所作は、完璧に女性。
ヨヨヨ、っとよろけるところなんてそこらの女性より女性らしい。タマ様はおそらく、身体が凄まじく柔らかいんでしょう。
ですが、お顔はどう忖度しても、男性でした。
夜叉ヶ池をおすすめしてくださった読者さんによると、かの三島由紀夫がタマ様の美しさを絶賛したそうですが、ひょっとしたら三島には男性を特別な気持ちで好む志向があり、そういった対象としてタマ様を称賛したのかもと勝手に推測しています。ちなみに三島は163cmだそうですから、見上げるようにして美しいタマ様を眺めたはずです。

私は・・・タマ様は白雪姫だけ演じ、百合は女優さんが演じる方が良かったんじゃないかと思います。真っ先に思い浮かんだお顔は、夏目雅子さんですね。美しいだけでなく、どこか薄幸そうな女性が百合にはフィットしますので。
もちろん、篠田正浩監督がタマ様あっての作品、タマ様が白雪姫と百合をどちらも演じる事に意味があると考えて撮影した作品である事は理解しています。

そしてこの映画では、山崎努さんと加藤剛さんの凄まじいイケメンぶりも満喫出来るんですね。
「おくりびと」の山崎さんや「大岡越前」の加藤さんは異なる、若い若いおふたり。
もうむちゃくちゃイケメンです。とにかく、精悍。
でね・・・私は宝塚の男役が本当に大好きで、そこらの男性には全く興味がないんです。けれど本当に本当なイケメンは、本物の男性に軍配が上がるんだなと思いました。
龍の宮と夜叉ヶ池で言うと、瀬央さんは男役の中でも飛び抜けて男臭さがある素晴らしい男役ですが、やっぱり、本物の男性のイケメンである山崎さん加藤さんほどは精悍ではないと思ったんです。

というわけで、この度のタイトルとなりました。
女形は男性しかいない歌舞伎の中だからこそ女性として輝き、男役は女性しかいない宝塚の中だからこそ男性として輝けるんだな、って。
当たり前といえば、当たり前なんですけどね。

さて、その他の感想を述べますとストーリーはまさに、「人間の業」。
OSKの公演をきっかけに知った「海神別荘」も泉鏡花で、やはり人間の業パラダイスでした。私がすごく好きなジャンルです。
映像としては、龍の宮では宮殿の世界が美しかったけれど、夜叉ヶ池のそれはちょっと、いまいちでしたね。ただただ中央にいるタマ様赤姫だけが美しいだけの世界。とはいえ、最後の大洪水(ネタバレですみません)のシーンはわざわざブラジルの滝で撮影したそうで、すんごいスケールです。

お値打ち価格ですしね、楽しませていただきました。
それでも不満をあえてひとつ言うと、なぜか・・・なぜか、おちちが出てきたんですw
映画が始まって間もなく、山崎さん演じる学者がとある家で「目にゴミが入ったので洗い流したい」と水を所望します。しかしこの家だけでなく、村全体で干ばつに悩んでいるんですね。
ですから家の人が「水だとぉ?よそ者にやれるかぁ!」って怒鳴りつけるんならわかるんですが、なぜかなぜか、女性が「目を濡らしてあげましょう」とおちちポロンして山崎さんの顔に母乳をひっかけようとするんですよ。
な、なんで???
なんだろこれ、けっしてセクシーすぎるわけではないけれど、ある意味度肝を抜かれ、めっちゃ覚えていますw 原作通りなのか気になるけれど確認出来ていません。

というわけで、映画版「夜叉ヶ池」についていろんな感想を述べましたが、

やっぱ男の人って、おちちが好きなんやな・・・

でシメさせていただきます。

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コメント

  1. こんちゃん より:

    関西の、たー様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    映画版「夜叉が池」、面白そうですね。私も一度見てみたくなりました・・・私がオススメしたのでしたね(笑)

    詳細なレポ、ありがとうございます。映画は未見ですが、全盛期の玉三郎さんの女形姿が、後世の人間もアクセスしやすい映画作品と言うパッケージで残ったのは、日本文化史上の遺産ですね。

    「人は女に生まれるのではない、「女」になるのだ。」と言いますね。私は女に生まれて「どんな女」になりたいか、とは考えますが、かぎカッコつきの「女」という概念についてはあまり考えずに生きてきましたが、

    玉三郎さんは子どもの頃から、ずっと概念としての「女」を男の肉体で体現せねば、と考え続けて修行していらっしゃる。女は「女形」にはなれない。男役も、リアル男の代替ではなく、概念としての「男」ゆえの魅力なのでしょう。

    中国でも、京劇は昔は「女形」がいたそうなのですが、文化大革命で女形は廃止されて、女性役は女優がやる、女形のいない歌舞伎みたいになったそうで。いちど失われた文化は、経済発展しても戻らなかったそうです。歌舞伎も宝塚もある(しかもそれらが商業演劇のメジャーにいる)日本とは珍しい国なのかもしれないですね。

    • 関西の、たー関西の、たー より:

      「宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ」管理人、こんちゃんさん、この度はご紹介本当にありがとうございます。
      はい、映画作品の円盤としてお姿が残った事に意味がありますね。権利?タマ様の希望?理由がハッキリしないのですがこの作品はずいぶんと長い間、円盤化出来なかったようです。タイミングバッチリ!
      タイミング重視の私としてはホンマ、興奮します。OSK公演の大阪松竹座でたまたま近隣に座っていたおばあさんの私語を小耳に挟みタマ様に興味津々→南座で現在のタマ様→こんちゃんさんから夜叉ヶ池のご紹介→円盤で全盛期のタマ様と、どれひとつ欠けてもこんな体験は出来なかったわけで。いきなり夜叉ヶ池の円盤を観てもこれほどにタマ様のありがたみを感じる事はなかったかもしれません。

      「どんな女になりたいか」を私はほぼ、考えた事がないんです。だからでしょうか、「女」を体現するにあたり強い信念で生きてきたタマ様の所作にはたまらないほどの女性らしさを感じます。はっきり言ってちょっと大げさに感じるところもあったり。でもこれは宝塚の男役もそうで、異なる性を演じるには大げさすぎるくらいでちょうど良いのかもしれません。
      京劇は女形が廃止されたんですね。そうですよね、、、ブロードウェイ・ミュージカルも普通に男女いますし、考えてみれば歌舞伎や宝塚ってすっごく特別な世界。なのに日本では定着しているんですから、確かに珍しい国かも。

      この記事では山崎さん加藤さんをアゲアゲしましたが、かといって当時の彼らが大羽根を背負ったら素敵かというと、それは違う(断言)。
      宝塚のトップスターだからこそ似合うんです。ホンマ、独自の文化ですよね。
      あっでもジャニーズや韓流スターだと似合う子がいるかも???なーんて。

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

  2. 昭和っ子 より:

    玉三郎様、29歳?

    私のまさに結婚当初の時代かな?

    私は映像って昔からあまり見ないの知らなかったのですが

    やはり見た目は男性ですか?
    玉三郎さんもやはり舞台の人ですね

    宝塚の人も舞台は男役ですが
    テレビなどで一般のタレントさんに混じると普通に女性ですものね

    あのメークのままテレビに映ると案外  ギョッとしますものね

    夜叉ヶ池はなんか幻想的な映像みたいですね

    • 関西の、たー関西の、たー より:

      昭和っ子さん、はい、夜叉ヶ池でのタマ様は29歳で「当時は若かったからいろいろ我儘言っちゃった」みたいな反省を述べた記事がありました。

      玉三郎なくして生まれなかった映画「夜叉ケ池」、魂鎮める子守唄

      という読売の記事なので良ければ検索してみてください。篠田監督との対談です。

      こうゆう記事も読んでいますしね、どれほどにタマ様が百合を演じる事に意味があったかは、わかっているつもりです。
      が、私の目玉には、流石のタマ様も普通の女性としては厳しいな、と。はい、やはり舞台の人と感じたんです。

      そうですね、ジェンヌさんも、特にOGさんはテレビでは普通に女性ですよね。
      先日「ラヴィット」に柚希礼音さんが出演していたのですが、とてつもなく可愛らしい女性でした。アイメイクが柔らかい。
      確かに舞台メイクのまんまだとテレビで一般の芸能人と出るにはギョッ!ですもんね。

      昭和っ子さんはあまり映像を見ないんですね。私は映画が好きでしたがハリウッドものに偏っていたので、昭和の日本映画がすごく新鮮です。
      夜叉ヶ池は幻想的・・・ではないかも(私の感覚です)。最後の大洪水の映像はダイナミックですごいですよー

      いつもありがとうございます。
      もうひとつのコメントにもこれからお返事させていただきますね。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

  3. おかちゃん より:

    コロナの引きこもりだし一ヶ月の費用で三ヶ月加入できますという営業にころっとWOWOW加入してしまった私でしたが、前回の記事のお陰で放送案内を知り即録画できました。感謝。天守物語は逃したので情報を得るって大事ですね。WOWOWの費用にたいしても払って良かったと思います。

    生の玉三郎さんを見ることが難しくて子育て費用にめどもつき、やっとこさの最近からシネマ歌舞伎を利用しています。演目の説明をスマホ利用でダウンロードして買えるようになったのでフムフムと解説に支えられて眺めます。たま様ファンが多いから作ることを許されたシネマ歌舞伎だし監修とかもたま様が行うのでそちらでは美しく仕上がってますが、それも私の目というフィルターを通してだけかもですね。お子さまなんかが眺めたなら気持ち悪いと正直に言うのかなあ(笑)。

    本来あるべき姿でないものに憧れたり愛でたりというのは文化の成熟で楽しむようになったのかもですね。

    • 関西の、たー関西の、たー より:

      おかちゃんさん、コメントありがとうございます。WOWOW加入されたんですね。天守物語や夜叉ヶ池は長く封印されていたようですが、ひとたび解禁されると円盤にはなるわ、配信はされるわなんですね。
      この2つの作品はセットのようなので、夜叉ヶ池の円盤を購入したからには天守物語も買うべしとわかってはいたものの夫にお願いするのもなぁと迷っていたんです。ですがおかちゃんさんからのこのコメントを読み購入を決意し、夫にお願いして先程ポチしました。到着が楽しみです。

      さらにおかちゃんさんはシネマ歌舞伎も利用しているんですね。演目の説明をスマホでダウンロード購入出来るのは便利ですね。耳寄屋ですか?私が南座で利用したイヤホンガイドは耳寄屋が作ったものらしくって。あれ、でも文字での解説はやっていないのかな?今ちょいと調べてみたのですが、文字版の案内がなさそう。

      タマ様は本当に、貢献者ですよね。後継者がハッキリと決まっていないのが残念です。私は「阿古屋」という演目に興味がありまして、いつかタマ様後継者の生の舞台を観たいです。
      日本人なら幼い頃から雛人形くらいは見て育ったはずで、女形はお雛様に近いんですからさほど拒否感ないような気がします。美しく見えるのは決しておかちゃんさんだけのフィルターではなく、日本人すべてが顕在的なり潜在的なりに持っているフィルターではないかと。
      でも、今の娘が興味を持つ可能性は低そう・・・ま、将来どうなるかわかりませんからw
      宝塚を好きになった人には歌舞伎を好きになる可能性が十分にあると私は思っています。

      はい、本来存在しないものに憧れや愛しさを感じるのは文化の成熟だと私も思います。
      文化って、効率をあまり考えていないんですよね。

      いつもありがとうございます。お返事遅くなりすみません。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

      • おかちゃん より:

        シネマ歌舞伎の演目解説がダウンロードと書いてしまっていたのですがこれは間違いなので訂正をしておきますね。イヤホンガイトアプリ(ここ大事)をスマホにダウンロードしていると映画館の映像にあわせてイヤホンガイドが起動します。月イチ歌舞伎演目のガイドのみですし、映画館のオンタイムに聞けるだけですから自宅に持ち帰って再度聞けない代物です。映画を複数回数見る分には便利かも。最近のガイドの値段は500円です。声は女性が邪魔しない形で説明してくれます。

        さて市川團十郎の展覧会はポケット学芸員というアプリをダウンロードすると逸翁美術館で展示されている絵や説明が一部ですが掲載されていますよ。小さな美術館なのでわざわざに足を運ばなくてもネットでどうか眺めてみてください。

        • 関西の、たー関西の、たー より:

          おかちゃんさん、イヤホンガイドアプリ調べてみました。私が南座でレンタルしたイヤホンガイドのアプリ版で、シネマ歌舞伎にのみ使えるようですね。デモ動画を再生したところ、私が南座で体験したのととても似ていました。女性が邪魔しない絶妙なタイミングで説明してくれるのがまた、同じだし。
          せっかくアプリを入れて購入しても映画のオンタイムでしか再生出来ないのは残念ですね。このあたりもまた、舞台開催中しか使えないイヤホンガイドと同じですね。

          ポケット学芸員ですかー
          これ、昔から美術館などにあった解説マシンをスマホでやっちゃうぜ!なアプリのようですね。
          ご紹介ありがとうございます。
          私のスマホは超ロースペックで、メモリがカツカツなんです。なので極力アプリは入れないようにしています。
          逸翁美術館にはいつか直接、行きたいです。

          いつもありがとうございます。
          今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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