娘の話を思い出す

最初にお断りしておきます。私は普段から記事にフェイクを入れていますが、今回の記事には特別たっぷりと入っている事を。娘から聞いた話についてはすべてウソだと思って読むくらいで丁度良いです。

・・・

現役ジェンヌのAさんが自らこの世を去り、宝塚ファンそれぞれいろんな気持ちを抱えているでしょう。
私はジェンヌが揃いも揃って低学歴である事が大きく影響していると強く思っています。
じゃあ東京藝術大学出身がゴロゴロいる劇団四季にはいじめがないのか、そんな事を言いたいんじゃありません。四季にだっていろいろあるでしょう。
だけど大卒が多く、おそらく中卒はいないであろう四季の劇団員はジェンヌよりも「かなり有利」なはずです。劇団を去っても転職しやすいですから。学歴があるという事だけでなく、高校や大学でいろんな人に出会ったり、アルバイトをしたりする事に意味があるんです。

ジェンヌは中卒や高校中退ってだけで十分に不利ですが、実は中学生の頃から人生を宝塚に捧げています。
Aさんの事があってから娘が私立中高一貫校に通っていた頃に話していた事をよく思い出すんです。この一貫校では毎年のように音楽学校を受験する子がいるけれど娘が知っている受験生はすべて極端に美しく、そして極端に勉強が苦手だったそう。東京の受験対策スクールに通うのがデフォな世界ですから関西の学校での勉強に時間や体力を使えないのでしょう。授業中に突っ伏して寝ているのはザラで、得意なはずの音楽や体育すらちゃんと受けていない子もいたそうです。
そして皆、極端に細い。お弁当を持って来ず栄養ドリンクだけを飲んでいる子も珍しくなかったそう。
とにかく音楽学校を受験する子は特別に目立つから、学年を超えて広く知れ渡ると娘は言ってました。
親から宝塚を強く反対された子もそれなりにいたらしいです。具体的な大学名を複数あげてそれらの大学に入れば卒業後にどこかの劇団を受験しても良いと親から言われた子もいたそうで。親から「宝塚だけはダメ」なんて言われた子が宝塚を目指す子と仲良くなれるはずはなく、そういった事情がなくても音楽学校を受験する子達の特殊さを受け入れられる一般の子はほとんどおらず、おのずと受験する子達だけでグループになっていたそう。

そこまでしてもすべての子が落ちました。そして皆、大学に進学したそうです。普通に大学受験するのは困難だし、成績や出席率の問題で指定校推薦は得られません。だけど私立校ですからどうにかなります。

学歴がオール国公立な私とって奇妙なほどに、娘の一貫校つながりは深いです。別々の大学に進学してもしょっちゅうつるんでいます。SNSが盛んな現在ですから音楽学校に落ちた子のその後をけっこう追えるそうで、みんな社会人や大学生として充実した日々をすごしているとの事。そりゃあビジュアルが抜群に良いんですから恋愛にも就職にも有利でしょう。

合格した子はいないけれど、もしいたとしたら・・・
一貫校つながりから完全に離れ、大学生活を送る事は出来ず、恋愛やアルバイトだって出来ません。退団後に一貫校つながりに加わるのも無理でしょう、特別な世界しか知らない子が普通の子達と価値観を共有するのは難しいでしょうから。

娘があれこれ話していた頃は聞き流していたけれど、Aさんの事があってからはあんな話やこんな話を思い出し、宝塚が好きすぎて見えていないフリをしていた「ジェンヌの過酷な実情」を感じています。

こんな事を書きましたが、
私は今後も宝塚観劇を続けます。
今回の記事で私は嘘をたくさんつきましたが、これだけは事実です。

コメント

  1. めい より:

    興味深い、お話ですね。
    宝塚歌劇も昔と今では社会が変わってます。
    私は子供の頃宝塚が嫌いでした。親戚が阪急に勤めていて、歌劇に行くのが一番安上がりのレジャーだったのでよく連れていかれてました。温泉もありましたし(今の宝塚ホテルの辺りに)。
    その頃のジェンヌさんは・・・あまり綺麗な人が居なくて、それを親戚のおっさんに言うと
    「まともな顔の奴は嫁に行くか映画に行って、残ったブスでやってるんじゃー我慢しろ」
    お見合いで綺麗な人からお嫁に行って、どんどん抜けていく時代だったのです。専業主婦が普通だった時代ですね。

    入学年齢も見直したほうが良いかもしれませんね。
    音楽学校でも高卒資格を取れるようになっているそうですが、退団時の最終学歴が中卒(高校中退を含む)になってしまう人も居ると思います。
    高校卒業時から大学卒業までくらい(18~22才)にしたらどうかと思います。

    中学卒業したばかりだと、まだまだ子供です。知り合いに劇団生が使う品物を扱う店のバイトをしていた人が居ます。採用されて店に行ったら「おとめ」を渡されて、よく読んで顔覚えてね!と言われて、宝塚には興味無く、全然知らないのにそんなん無理・・と、困ったそうです。
    その人がすみれ寮の音校生に届け物をしたとき、話しかけてきて纏わりついてなかなか帰れないと言ってました。穏やかで優しい人なので甘えられたのだと思います。

    そろそろ博多座でしょうか?お気をつけて行ってらしてくださいね。
    旅行記、楽しみにしています。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      めいさんは子どもの頃に「安上がりなレジャー」として歌劇に行ってたんですね。ええっと、ファミリーランドでは遊ばせてもらえなかったのでしょうか?当時の大劇場はファミリーランドの中にあったんですよね?
      宝塚南口に住んでいた頃の私にとってファミリーランドは楽園のような存在でした。ここのプールに連れて行ってもらうのが本当に楽しみで。すぐそばに大劇場や温泉があったはずですがこれらに行った事なく、視野に入った記憶すらありません。ふふ、当時のジェンヌさん達は綺麗な人が少なかったんですね。

      音楽学校内で取った高卒資格ってホンマに資格だけです。高校は高卒資格を取るためだけにあるんじゃなく、友達同士で帰り道に寄り道したり、親には言わないようなおしゃべりを楽しんだり、お弁当やお菓子を一緒に食べたり、時には不仲になって気をもんだり、とにかくいろんなしょーもない事を経験するためにあるのだと私は思っています。しょーもない事のひとつひとつが社会人になる練習になると。
      ですが音楽学校生は常に競争です、入団時の成績がその後を左右しますしね。心底から仲良くなりにくい環境なんですよ。しかもたった1学年しか変わらない先輩や後輩との力関係の差がありすぎるし。

      音楽学校の受験資格を高卒以上にしたら一気に解決するかといえばそうではないでしょう。一般の高校に通っても受験対策で時間も体力も削られるでしょうから。さらに絶対に太れないので友達との買い食いは出来ないし、お弁当にしたって極端に小さいとかドリンクだけじゃあ一般の子と一緒に楽しく食べる事は難しいです。
      それでも高卒以上にすれば中卒一発合格者を重宝する今のスタイルからの脱却にはなるわけで、状況が悪くなる事はないと思います。中卒合格者は皆さんとても優秀です。だけどそれゆえ宝塚だけに染まりきり、他の世界に馴染みにくくなってしまいます。

      めいさんの知り合いさんはかつて、すみれ寮の音校生に懐かれたんですね。
      音校生からすると、自分を「ジェンヌの卵」として扱わない知り合いさんには安心出来たのかもしれません。

      はい、博多座行きの日が近づいて来ました。今日にもぷらっとひかりのチケットを取りに行くつもりです。
      荷物が多くなりそうですー

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

      • めい より:

        ファミリーランド(に、なる前の遊園地の時も)には行けなかったです。
        大劇場に入ると、改札(木製の低い柵のような感じでした)から出たらダメ!とキツく言われてましたから。
        そして公演が終わる頃には、席に戻ってなさいと言われてました。勝手にうろうろされると探しにいくのが大変ですからね。

        なので時間潰しに、ほとんど人の居ない3階(旧大劇場にはありました)をうろうろしたり、階段や階段の途中から出られる小さい庭で遊んだりしてました。長かったです・・いつまでやってるんや!と、いつも思ってました。終わる頃に席に戻ると、フィナーレで銀橋に来たジェンヌさん達が手を振ったり笑いかけたりしてくれるんです。たいてい前方席(前からイロハニホヘト~でした。折り畳みの補助席もついてました)に居たし、子供だからと愛想よくしてもらってたんですが・・嬉しくなかったですね。
        「こっち見んな!」と、ブスっとしてる可愛くない子供でした。

        そんな私の子供なのに、娘は最初から宝塚が好きで私の母に連れられて大劇場に行ってました。ところがあるとき、母が急用で行けなくなりました。
        「親なんだから、たまには連れていってやりなさい!」と、言われて渋々行ったのが1992年の月組公演「PUCK/メモリーズ・オブ・ユー」。そして主演の涼風真世さんと2番手の天海祐希さんを見て、急転直下、宝塚が好きになってしまいました。

        • 関西の、たー 関西の、たー より:

          めいさん、そりゃあ宝塚が嫌いになりますね、大人の都合に付き合わされていたのですから。本当なら大人が子どもの都合に付き合って欲しいところです。もしくは折衷案で「ファミリーランドのみ」「観劇とファミリーランド」「観劇のみ」のバリエーションを用意してくれていたら良かったのにね。
          基本的に子どもは身体を動かしたりおしゃべりしたりする方が脳が喜びます(大人でもこのタイプは多い)。ジッと黙って座り続けるってほとんどの子どもにとって罰ゲームなんですよ。
          で、めいさんにとっては残念な記憶なのに、ご親戚の中では子どもだっためいさんを宝塚に連れて行ってあげた、めいさんは喜んでいた、といった自分に都合良い記憶になっているかもしれません。

          旧大劇場には3階があったんですね。しかも列がイロハニホヘトですか~
          なんか悲しいですね、子どもだっためいさんなりに楽しもうとしていたんですね。ジェンヌさん達が愛想よくしてくれても、肝心の親戚さん達から放置されていたら不機嫌にもなりますよ。

          めいさんの娘さんが宝塚を好きになったのは、娘さんの持って生まれた感性と宝塚の相性が良かった事も理由のひとつでしょう。だけどもっと大きな理由もあるような気がします。
          めいさんのお母さんは観劇を楽しむよりも孫への気遣いを重んじていたんじゃないでしょうか。観劇の前後や幕間におやつを買ってあげたり、観劇中もトイレはないか心配してあげたり。
          めいさんの娘さんは自分が大切にされている事がわかっていたから安心して観劇を楽しむ事が出来たんだろうと私は思います。

          確かめいさんは飲まないのに娘さんはお酒好きなんでしたっけ。うちも娘と感性が違いすぎて正直、もっと自分と感性が似た子に育って欲しかったです。
          持って生まれた感性も異なっていたんでしょうが、娘の感性を私に合わないように磨き上げたのは間違いなく私立中高一貫校です。見学に行った時に私はただちに「合わない」と思ったのに娘はいたく気に入り、そのまま入ったんですよね。勉強はさして教えないくせにつまらない愛校心は熱心に教えて、高まったのは偏差値じゃなくプライドだけでした。
          とはいえここの環境で娘は宝塚好きのクラスメイトとたくさん出会い自分も興味を持ち、私を巻き込んだんです。今じゃ私の方が熱心に宝塚を観ていますよ。めいさんはどうです?娘さんより熱心だったりしません?

          めいさんは久しぶりの宝塚で涼風さんと天海さんに惹かれたんですね。おそらく他のジェンヌさんにしても、ビジュアルが子ども時代の記憶より相当ブラッシュアップされていたんでしょうね。
          私は涼風さんは東宝版のポーの一族で拝みまして、老ハンナもブラヴァツキーもすんばらしく良かった、キャラが乗り移っていました。天海さんはいくつかのテレビドラマで見ていますがシングルマザーだったり行き遅れの女医だったりやたらオーバーアクションな弁護士だったりと個性的なキャラばかりだったような。舞台でのお姿も拝んでみたいです。

          いつもありがとうございます。
          今後もどうぞよろしくお願いいたします。

  2. やすみ より:

    たーさま
    こんにちは。
    関西のいいところの学校は宝塚を目指す方もいそうですよね。
    わたしは庶民の大学付属の女子高でしたが、進路によって友達グルーブが分かれてましたね。
    受験する子は別のグループでしたね。
    私は付属の大学に書類審査のみで行きました

    紫吹淳さんが上級生が“カラスは白い”と言ったら白いという世界ですって何かで言っていた時にネタだろうと思ってましたが、宝塚はガチでそーゆー世界なんでしょうね。
    https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/02/06/kiji/20230206s00041000558000c.html

    ちょっと長いですが、受験生を指導されている方の話題のブログです。
    https://ameblo.jp/odangotakachan929/page-2.html

    私は今回の件は行き過ぎだと思います。
    いじめがあったかなかったかではなく、生徒さんが自殺されたという事実は重いです。

    • 関西の、たー 関西の、たー より:

      やすみさん、こんにちは。せっかくコメントを頂いたのに気づくのが遅くなり、先に新しい記事をアップしてしまいました。本当に申し訳ないです。

      関西は首都圏ほど芸能につながる道があるわけではなく、宝塚の存在がひときわ目立っているのかもしれません。
      中卒で受けるには高校受験対策に時間を避けるはずがなく、私立の中高一貫校に通って高校への道を確保しておく必要があります。
      どうしても生徒同士、グループ分けになっちゃいますよね。うちの娘は小学校だけは公立なんですが、5年生あたりから中学受験する子としない子でグループが分かれていました。って事は中学受験する子はどこかしらの私立に入らなくちゃいけません。全落ちして公立中に進学すればボッチになってしまいますから。
      宝塚は落ちる事がデフォですし高校3年までチャレンジして駄目だった先には大学が待っていますから落ちたって笑いものにされる事はないでしょう。ですが中高の6年を、勉強や学校イベント、友達との交流を犠牲にして受験に捧げなくちゃいけません。親の出費も半端ないですし。

      上級生がカラスは白いと言ったら、のお話に私は舞妓を思い出しました。上からの命令は絶対なんですよね。そして基本的に中卒です。京都から遠く離れた地方の女の子が見た目が可愛いとか舞踊に興味があるとかいった気持ちで踏み入れるには危険な世界なのでしょう。京都出身の舞妓がほぼいない事にも理由があるはずです。
      ジェンヌを目指すきっかけも素敵な世界への憧れなのでしょう、なんせ劇団が表しか見せないから、中に入れば闇っているなんて想像は出来ないんです。

      オペラ教室の吉武さんの記事、読みました。
      ホンマに読み応えがある記事なら長さは感じにくいものです。B誌の記事だって随分と長いけれど集中して読み続けました。吉武さんの記事に冗長さを感じるのは文章力とあと、やったら改行して行間を開けすぎている事に原因があるのかもしれません。ま、吉武さんは吉武さんのスタンスを貫けば良いんですよ、私は吉武さんの記事を読んで改行をやりすぎないよう一層気をつける決意をしました。

      はい、生徒さんの自死は本当に重いです。
      ですがこれは決して、突発的に起った出来事じゃあないんです。長い間劇団が姑息で醜悪であり続けたゆえに命を失う犠牲者が出たのであり、しかも劇団は今後もそのままであろうとしています。
      劇団の脳内は「どうやって宙組公演を再開させるか」でいっぱいかと。それさえすればファンが押し寄せて稼げるとふんでいるんですよ。
      実際にそうなるでしょう。結局は私達宝塚ファンが劇団をあのようにしてきたんです。

      いつもありがとうございます。
      今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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